各務華梨「キャラクターが愛されるためのお手伝いをしていきたい」【声優図鑑】

アニメ

公開日:2022/2/21

各務華梨

 キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチWebの恒例企画『声優図鑑』。第282回目に登場するのは、D4DJ内ユニット「Happy Around!」明石真秀役を演じる各務華梨さんです。

アニメーション作品に登場するキャラクターたちが好きで、「キャラクターのお手伝いをしたい」という気持ちから声優を目指し、ひとりで地道に表現を学んでオーディションに合格。小さい頃の思い出や真秀役を演じる時の気持ち、休日の過ごし方などを聞きました。

アニメに声を当て、キャラクターの表現を独学しました

——カリフォルニア生まれということですが、いつ頃までいたんですか?

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各務:住んでいたのは1歳くらいまでですけど、日本に帰ってからも長期休暇でよく滞在してました。幼稚園から小学校までの夏休みは毎年、現地の子が行くようなサマースクールに通っていました。

——カリフォルニアにはどんな思い出がありますか?

各務:名前を忘れてしまったんですけど、大きなアウトレットがあって、その頃はまだ日本にあんまりアウトレットがなかったからすごく覚えてます。アメリカってなんでも規模が大きくて、アウトレットもすごく大きかったんです。お母さんに連れられてお買い物したのがいい思い出です。アパートにはプールがついていて、毎日プールに行っていたと、お母さんから聞きました。

——どんな子どもだったのか覚えていますか?

各務:おとなしくて、プールも友だちというよりお母さんと一緒に遊んでいたと思います。一人っ子だし、ひとりで遊ぶのも嫌いじゃないタイプでした。

——他にはどんなことをして遊んでいたんでしょう。

各務:小さい頃から絵を描くのが好きでした。一番がんばって描いていたのは中学3年生から高校までです。インターナショナルスクールだったから、高校は11年生と12年生の2年間。その間ずっと美術の選択授業をとっていました。2年通してひとつのテーマを制作する課題があって、私は、感情をテーマに表情以外で感情を伝えられるような絵を描いていました。

——高校を卒業してから、2019年のオーディションで今の事務所に所属されていますね。

各務:小さい時から声優になりたいとずっと思っていたので、小学校の頃からいろんなオーディションを受けて、ようやく受かったなっていう印象でした。

——オーディションで演技をする機会もあったと思いますけど、どんなふうに練習していたんですか?

各務:テレビでアニメを観ながら声優さんの真似をしてました。最初に好きだった作品は『デ・ジ・キャラット』です。もともと「デ・ジ・キャラット声優オーディション」に影響を受けて声優に興味を持っていたので。でじことぷちこがめちゃくちゃかわいくて大好きで、あんなふうにかわいい声が出せたらいいなって気持ちを込めながら真似していました(笑)。本格的に声優になりたいと思ってからは、ジャンルを問わず、アニメのセリフを書き取って、テレビの音を消して声を当てたものを録音する、っていうのをずっと繰り返していました。

——地道な努力ですね。大変ではなかったですか?

各務:セリフを言うのが好きだったので苦ではなかったし、楽しく練習してました。始めるまではサボりがちですけど、一度始めると熱中するタイプで、納得するまで何回も撮り直して練習しました。

——どんな声優に憧れていましたか?

各務:私は絵がすごく好きで、キャラクターも好きで。声優になりたいというよりも、作品の中に描かれたキャラクターに私の人生を捧げたい、キャラクターのためにお仕事をしたい、という気持ちだったんです。私の中では、その気持ちを叶えられるのが声優、というイメージでした。

——声優を目指したのはキャラクターのためなんですね。たくさんのオーディションを経て、所属のきっかけとなった「S・響・エースクルー合同オーディション2019」では手応えを感じましたか?

各務:3社合同のオーディションで、手応えはあったんですけど、Sではないと思っていました。私の中でSは、声優だけではなく音楽でも活躍されている方が多い印象だったし、事務所の社長のインタビューを観たら「歌うことが好きな人が入ってほしい」とお話しされていたので。私は音楽にくわしくないし、歌の活動にも興味を持っていなかったし、歌のアピールもしていなかったから…合格を聞いた時はすごくびっくりしました。

アニメに声を当て、真秀の乙女チックな部分も表現したい

——『D4DJ』明石真秀役で幅広く活躍されていますが、どんなイメージで演じていますか?

各務:「Happy Around!」のユニットの中ではボーイッシュでかっこいい印象だったので、力強くて低めの声を意識していたんですけど、真秀ちゃんを知っていくにつれて、乙女チックな部分が見えてきたんです。みんなの優しいお姉ちゃんみたいな柔らかい一面もすごくあるなと感じて。だから、かっこよく決めるところは今も続けていますけど、声のトーンをちょっと柔らかくして、かわいらしい雰囲気も出せるようにしています。最初は「声を高くしすぎたかな」と心配になることもありましたけど、今では「これが真秀だろうな」って思えるようになりました。

——「Happy Around!」は、各務さんから見るとどんなユニットですか?

各務:元気でハッピーなだけではなく、楽曲の振り幅がユニットの中でもいちばん広いんじゃないかなと思っていて。切ない曲もあるし、グルミク(D4DJ Groovy Mix)でケンカしちゃったエピソードが曲に反映されていたりするので、キャラクターの気持ちやストーリーがすごく楽曲に反映されているユニットかなと思ってます。

——それは魅力ですね。真秀役としても気持ちが乗りやすいのでは?

各務:そうですね。ハピアラ(Happy Around!)が悩んでいる背景があるようなかわいらしい曲では誰かに甘えているイメージを意識したりとか、メンバーの中でいざこざがあって作られた曲だったら、みんなに心を許している雰囲気を出すようにしたりとか。お客さんを盛り上げる想定の曲では、お客さんの前でかっこよくありたい真秀の気持ちを意識するようにしています。

——それぞれに想いが込められているんですね。音楽に興味がなかったところから、実際に携わってみていかがですか。

各務:DJがすごく楽しいです。もともとEDMが好きなので、ハピアラの曲も好きな曲を聴いている時のような感覚で。最初に曲を聴いてから曲をつないでいくんですけど、曲をたくさん聴いて、好きな曲のことをたくさん考えられるのも楽しいです。音楽は、キャラソンも好きだし、ハピコアって呼ばれるジャンルとか、ちょっと前まで電波曲って言われてたようなピコピコした曲も好き。最近は、前から聴いていた作曲家さんの楽曲がグルミクにも収録されていて、私がすごくうれしいです(笑)。

——いいですね(笑)。歌のほうはどうでしたか?

各務:もともと苦手意識が強いので、それを克服したくてボイトレに通っているんですけど、ライブでは真秀を演じながら歌っているので、そこまで苦しい感じはないんです。たくさん練習しています!

——Happy Around!のメンバーのみなさんはどんな印象ですか?

各務:ハピアラ以外のキャストのみなさんも含めて、みんなすっごく優しいです。デビュー作で、D4DJ 1stライブでも群を抜いて何もわからない状態でしたけど、今でもハピアラのメンバー全員とした最初の会話を覚えています。たとえば、三村(遙佳)さんはまだアニメになる前のボイス収録でお会いしたんですけど、大学があるので途中から参加したら、「疲れてるでしょ」ってさつまいものタルトを持ってきてくれたんです。それが最初の出会いだから、相当優しい(笑)。西尾(夕香)さんも、1stライブの会場の場所がわからない時に付き添ってくれたりとか。

——妹的な立場というイメージなんでしょうか。

各務:そうかもしれないですね(笑)。かわいらしい雰囲気の三村さんも私にとってはお姉さん。ダンスが上手なので教えてくれたりします。

——のびのびと過ごせそうなユニットですね。英語吹き替え版の声も担当されていますが、いかがでしたか?

各務:日本語とは全然違ってむずかしかったです。インターナショナルスクールでは先生と会話したりプレゼーテーションをする機会が圧倒的に多くて、友だちとはあんまり会話してこなかったんです。真秀が話す相手はだいたいりんくちゃんなので、肩の力が抜けたフレンドリーな感じでしゃべるのにけっこう苦労しました。

——ラジオのパーソナリティにも挑戦されています。

各務:最初はめちゃくちゃ緊張しました。一人っ子だし、話すのが得意じゃないというか。ゲストなら聞かれたことに答えればいいんですけど、パーソナリティは毎回いろんな方と積極的におしゃべりすることになるので。ハピアラのメンバーだけではなく、ラジオで初めてお話しする方もいて、何を話したらいいのか悩みましたけど、お芝居やDJとは違って新しいことを学ばせていただいています。

男の子を演じられるように練習しています

——お休みの日はどのように過ごしていますか?

各務:寝ています。疲れてなくても寝るのが好き(笑)。最近は、YouTubeでゲーム実況とかを聴きながら眠りに入ります。よく聴くのは、牛沢さん。どうしたらこんなにおもしろく喋れるんだろうって(笑)。私もこんなふうにお話しできたらいいなと思いながら観てます。

——もしゲーム実況をするならどんなジャンルに挑戦したいですか?

各務:アクションゲームで遊んだことがあんまりないので、ほのぼの系やRPGみたいなストーリー系がいいかなと思うんですけど、トークスキルが必要になるジャンルだと思うので…。最初はアクションゲームで敵を倒すところから始めて、お喋りに慣れてきたらストーリー系でも実況してみたいです!

——ほのぼの系が各務さんの雰囲気に合いそうですね。では最近おいしかった食べ物は?

各務:ナーズっていうアメリカのキャンディです。すごく好きでアメリカでずっと食べてたんですけど、最近は日本でも見かけるようになって、それがうれしくて食べてます。細かく砕いてあるのが独特でおいしいです。

——がんばったご褒美に何でも買っていいと言われたら、何を買いますか?

各務:いろんな色のコスメを全色揃えたいです。自分の顔がコンプレックスで、メイクって手っ取り早く顔の印象を変えられるじゃないですか。だから、すぐに変身できるコスメで自分に似合うものを探したいなって。

——これからどんな声優になっていきたいですか?

各務:キャラクターをずっと演じていきたいタイプなので、とにかくいろんなアニメに出演して、いろんなキャラクターを演じたいです。そのためにも表現力を身につけていきたいし、特に少年役を演じてみたくて練習しています。真秀ちゃんもかっこいい系の子ですけど、男の子の役をやりたいなと声優になる前から思っています。

——最後に、読者へのメッセージをお願いします!

各務:『D4DJ』の明石真秀役はもちろん、これからもっとたくさんのキャラクターの声を担当して、キャラクターが愛されるためのお手伝いをしていきたいと思っています。これからも応援していただけたらうれしいです。

——各務さん、ありがとうございました!

【声優図鑑】各務華梨さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

各務華梨

各務華梨(かがみ・かりん) 株式会社S所属

各務華梨(かがみ・かりん)Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト