知性とユーモアあふれる“インテリ悪口”を駆使し、学校・職場のコミュニケーションを円滑に
公開日:2022/2/21
「キモい」「バカ」「死ね」
なんと品性・知性が欠片も感じられない言葉の数々だろう。これらの言葉を口にすることで相手を貶めるだけでなく、自分自身も貶めていることに気づかないのは大いなる損失に違いない。
どうせ毒を吐くならば、相手も思わず笑ってしまい、かつ知的好奇心が満たされる、発言者の知性やユーモアがキラリと光る、そんな悪口を言ってみてはいかがだろう。
「そんな悪口なんてあるもんか!」と思ったアナタ。実はあるのだ。言った人も言われた人もwin-winになれる「インテリ悪口」の数々を紹介しているのが『教養悪口本』(堀元見/光文社)だ。
そもそもインテリ悪口なるものはどんな悪口なのか。説明するよりも、実際に見ていただいた方が早い。それでは、本書で紹介されているインテリ悪口をいくつか紹介しよう。
「1年分のシナモンを全部燃やす皇帝かよ」 対象:見当違いのプレゼントをあげちゃう人
世界史を勉強していると必ず出てくるローマ皇帝の暴君ネロ。そんなネロの伝説の一つが、死んだ妻の火葬のためにローマ中のシナモンをかき集めて、妻と一緒に燃やしたというものだ。その量、実におよそ1年分。
いやがらせだろうか。いや、これはネロの妻への愛のこもった贈り物なのだという。当時、シナモンは超高級品。おそらく妻はシナモンを使ったスイーツが大好きだったのだろう。
とはいえだ。いくら愛があろうと、大量のシナモンを燃やせば、甘い香りが周囲を包む。そんな中、荼毘に付されるのは正直うれしくない。
こんな暴君ネロの逸話をもとに、恋人への贈り物で張り切り過ぎてしまった、あるいは変なプレゼントをチョイスしてしまったという知人に向けた「1年分のシナモンを全部燃やす皇帝かよ」というインテリ悪口が完成したそうな。
「ネルソン提督のようですね」 対象:話が長い上司
ネルソン提督とはイギリスの英雄として知られる偉人の一人。ナポレオン率いるフランス軍がイギリスを占領しようと侵攻した際、「トラファルガーの海戦」で迎え撃ち、見事イギリス軍を勝利に導いたのがネルソン提督だ。
戦略・度胸など、その偉業が今も伝わる人だが、部下たちをイラっとさせてしまったという逸話も残る。海戦直前、いよいよこれから戦が始まるというタイミング。提督からのメッセージが送られる。そう、手旗信号で。
「何か作戦に関わる重要なメッセージだろうか」と解析すること数分。「英国は各員がその義務を果たすことを期待する」という檄文が伝えられたそうだ。目の前で語られる抑揚と迫力のある熱い演説ならまだしも、テンポの悪い手旗信号。しかも、開戦直前だ。
部下たちは不満たらたら。士気よりも提督に対する怒気が上がったことだろう。そこで、話が長い上司に「ネルソン提督じゃないですか!」と、まるで英雄を称えるかのように言ってみよう。
いかがだっただろうか。おそらく唐突にこれらの悪口を使えば、相手の頭には大きな「?」が現れるに違いない。そこで、それらの悪口の元ネタを教えてあげれば「なるほど!」と笑顔になれること請け合いだ。ただ、その後「いや悪口かよ!」と厳しいしっぺ返しを食らうことも。時と場合、そして相手には細心の注意を払いたい。
インテリ悪口はあくまで会話のスパイス。どんなに高級で絶品な料理であっても、スパイスをかけ過ぎてしまうと台無しになってしまうものだ。
文=冴島友貴