【2月22日はスーパー猫の日!】飼い主と愛らしい猫の深い絆が笑えて泣ける!コミックエッセイ『シャム猫あずきさんは世界の中心』に癒されよ
更新日:2022/2/22
猫と暮らしてきた記憶は宝石のようなものだ。物言わぬ猫だからこそ、自分もその行動はつぶさに記録し、発信しておくべきだった。ふと、コミックエッセイ『シャム猫あずきさんは世界の中心』(のべ子/KADOKAWA)を読んでそんなことを考えた。
本作は、猫好きはもちろん、特に猫飼い(猫と暮らす人のこと)におすすめしたい。その理由は2点。あずきさんのかわいさと、著者ののべ子氏の、親ばかならぬ“猫ばか”っぷりのすごさは必読だからである。今まで何冊も猫コミックエッセイを読んだが、とりわけ「この作者さんの愛の深さすご……」と感じた。描き下ろしページとあずきさんのフォトギャラリーも収録したボリューム満点の単行本から、内容を紹介する。
猫飼いに共感の嵐……愛らしいあずきさんとの笑える日々!
本作にはTwitterでも話題となった、のべ子氏と愛らしいあずきさんとの笑える日常が「これでもか!」と詰め込まれている。ここではその一部を紹介する。猫飼いならば(本稿の筆者もだが)「あるある!」と膝を打つ方も多いだろう。
のべ子さんが電話で話すと、あずきさんはソワソワする。かまってなのか、話したいのか分からないがニャーニャーニャーニャーと鳴き続けるのは、私の愛猫や知人が飼っている猫でも見られる光景だ。個人的には、親族や友人と話している飼い主の声色が優しいからだと推測している。
また、「コロコロ」(粘着ローラー)は猫飼いの必需品。あずきさんは床をコロコロしているのに反応する。今日も飼い主は楽しそうな猫と遊びながら掃除をする、“不毛”だと思いながら。
そして“猫好き殺し”と言われる、かわいさ200%の「香箱座り」(万が一分からない人は画像検索してください)のようす。その状態の猫の下に手を入れると、気持ちよさはハンパではない。自分も手や足を伸ばしていてもその上で「香箱座り」された記憶がよみがえる。猫もまた人肌を欲しているのである。
他にも、結婚式に出席し帰宅したのべ子氏の見た目が普段と違いすぎて驚き、しっぽをぼんぼんにするところや、買ったばかりの履物の飾りを噛みちぎられて、シンプルデザインにされるところなどは、個人的に共感しまくった。
猫は飼い主それぞれの世界の中心
タイトル回収ではないが、猫はいつだって飼い主の世界の中心だ。のべ子氏はいつだってあずきさんを愛し、そのかわいさを声を大にして言いたい。その気持ちが非常に伝わってくるとともに、共感してしまう。きっと、猫飼いはみんな自分の猫が一番かわいいと思っており、できるなら、みんなのべ子氏のように、自分と猫との宝石のようなエピソードを人に言って回りたい(文才や画力があれば皆そうしていると思う)のではないだろうか。宝石は人にその輝きを見せたいものだからだ。
のべ子氏とあずきさんの愛の深さをひときわ感じた内容を一部紹介する。ある時あずきさんは、遊んでいる最中にのべ子さんを爪でケガをさせてしまう。そうなると思っていなかったためか、びっくりして落ち込んでいるようにも見えるあずきさんは、傷を舐めて癒そうとしてくれる。飼い主は当然のように猫を責めない。読んでいるこちらも共感するし、こんなことされたら愛猫に惚れ直してしまう行動だ(このページの後にオチはあるが)。
また、“猫はら”は、猫好きならきっとピンとくるだろう“猫の腹”のことである。猫飼いの多くはのべ子さんと同様、このモフモフお腹に顔を埋めている。そして心が通じている……と感じるのは、この行為は意外と猫からも是とされているのだ(私と愛猫の見解です)。
最後に、本作の7章は「幼き日のあずきさん」と題して、出会いを描いている。ここまで愛らしいあずきさんを楽しんだ後にこれを読むと、今のあずきさんの尊さをかみしめてしまうし、我が愛猫の子猫時代を思い出して目頭が熱くなった。猫と生きるのは大変で、命を背負う責任は発生するが、とにもかくにもかわいすぎるし、気持ちを温かくしてくれる彼らとは一緒に暮らせるなら、そうすべきだと強く言いたい。
人と猫が幸せであるようすが、本作にはたっぷりと詰まっている。なお、あずきさんの物語は続いており、3巻まで発売中だ。最新のようすはTwitter(@yamanobejin)やブログで読むことができる。ぜひ彼らのアツアツぶりを堪能してもらいたい。
文=古林恭