初の単独ライブも大成功。「グラン・エプレ」が育む、深い絆を語り合う――『アサルトリリィ』前田佳織里×東城咲耶子インタビュー
公開日:2022/2/25
「ヒュージ」と呼ばれる謎の生命体が出現した、近未来の地球。人類を守るために科学と魔法の力<マギ>を結集した決戦兵器「CHARM(チャーム)」を身に着けた少女たちが戦う――。
アクションドールから生まれたメディアミックスプロジェクト『アサルトリリィ』。2020年1月に舞台を公演、2020年10月よりテレビアニメ『アサルトリリィ BOUQUET』を放送、2021年1月よりスマートフォン向けゲーム『アサルトリリィ Last Bullet』をリリースするなど、その世界は広がりつつある。
今回は、「月刊ブシロード」との共同企画で、インタビューをお届けする。第3弾に登場してもらったのは、今叶星役・前田佳織里&土岐紅巴役・東城咲耶子のふたり。作中の神庭女子藝術高校のレギオン「グラン・エプレ」のメンバーとして共演している。2021年12月には、『アサルトリリィ Last Bullet』では初となるライブイベント「アサルトリリィ Last Bullet Presents Idol Lily Stage」でも多くのファンを楽しませたふたりに、『アサルトリリィ』への想いを語り合ってもらった。
舞台は、自分の限界突破ができた大事な経験でした(前田)
――『アサルトリリィ』のプロジェクトに参加してみて感じている面白さや難しさについて教えてください。
東城:『アサルトリリィ』は展開がすごくたくさんあるんですけど、わたしが個人的に面白いと思っているのは、舞台とライブでちょっと雰囲気が違うところです。舞台は、キャラクターに扮してウィッグをかぶって登場するんですけど、ライブはみんな地毛で、自分自身の延長で演じていて。そういう楽しみ方がたくさんあるし、アニメとゲームでコンテンツの楽しみ方がちょっとずつ違うところが面白いなって思います。
前田:わたしも、窓口の広さがすごいな、と思っています。ドールに始まり、舞台に広がっていって、アニメ、ゲーム、ライブといろんな窓口があって、幅広い方がファンになってもらえるような楽しみ方ができると思っていて。あとは個人的に、コンセプトが好きです。女の子がデッカい武器を持って――。
東城:わかる!(笑)。
前田:完全にわたしの好みのコンセプトなんです(笑)。みんなそれぞれ能力があって、ひとりひとりの個性も際立っているし、探せば探すほど、『アサルトリリィ』の魅力ってたくさんあるなあって思います。
東城:舞台にはアクション女優の方も出ていらして、声優だけでやる舞台とは違う雰囲気があります。そこもすごく面白いです。
前田:アクションがあるときは、もともとアクションをメインにやっていた女優さんにコツを聞いたりして声優チームが引っ張ってもらったり、逆に声のお芝居についてお話すると「へえ~」って驚かれたりする。そうやって、垣根を越える相乗効果があるプロジェクトです。
東城:個人的にささるのは、推しの声優さんのいろんな姿が見られるところです。わたしたちはライブだけですけど、他のメンバーはライブもやりつつ舞台もされているので、キャラとして舞台に立つ姿を見られるのは、すっごく萌えます。
――ご自身が演じるキャラクターの好きな部分や、お互いが演じているキャラクターの印象について、それぞれ教えてください。
東城:紅巴ちゃん(自身が演じる土岐紅巴)は、パッと見は努力家でおとなしくてビクビクしている、ちょっと気弱な子なんですが、大好きな先輩を追って、とんでもなく難しい学校に受かって、トップレギオンに入ってしまうことをサラッとやってのけるギャップの部分、努力家の一言では片づけられない努力をしているところが好きです。それでいて彼女は、自分のことを全然ダメだと思っているんです。でも実際は全然ダメじゃないし、追ってきた理由も「好きな先輩が仲良くしている姿が見たいだけ」という(笑)、そんな純粋な部分が、見ていて面白いなって思います。
前田:叶星(自身が演じる今叶星)は、しっかりしていて面倒見もいいし、思いやりにあふれている子です。でも、グラン・エプレのリーダーであることはもちろん、ただしっかりしているだけではなく、人に優しくできる子です。それもただ優しいのではなくて、自身がもともと持っていた痛みがあるからこそ、人に優しくできるんじゃないかなって思います。叶星は強い部分もありつつ、臆病な部分も持っていたり、努力家でもあって、いい意味での人間らしさが感じられるところが、みんなが共感できる部分にもつながっているんじゃないかなって思います。まわりで傷ついてる子や、大変そうな子がいたら、さりげなく手伝ってあげるような、真のリーダーみたいな感じです。
東城:紅巴ちゃんは、叶星様のことが先輩として大好きなんですけど、紅巴ちゃんじゃなくても、みんなが好きになるような子です。
前田:ある意味で人たらしというか。自然とまわりのことを考えて動いていて、たまにちょっと無理しすぎちゃうところもあって、まわりにも支えられている。叶星は、見ていて応援したくなるリーダーです。
――それぞれ、演じるキャラクターと出会ってどれくらいになるんですか?
前田:わたしは2年前の舞台で初めて叶星を演じました。そのときはあまりキャラクターの情報がなかったので、わたしの中の叶星像を自分で膨らませていきました。その後にゲームがリリースされてから「叶星ってこういう子だったんだ」みたいな部分を解き明かしていきつつ、グラン・エプレというレギオンができて、また新しい彼女の一面を見ることができたので、長いお付き合いができていて嬉しいです。
東城:わたしはゲームのアフレコからで、それが1年半くらい前なんですけど、その前に舞台も観に行かせていただいて。まだお互いのことを知らない状態で舞台を見て、「これがリーダーになる方なんだ」って(笑)。
前田:あれが初殺陣だったんだよ(笑)。
東城:めっちゃカッコよかったよ!(笑)。客席から、「あっ、この方なんだ」って、紅巴ちゃんのように憧れの気持ちで見ていました。
――キャラクターとは1、2年の関係なんですね。お話を聞いていると、育まれた思い入れの深さが1~2年のそれではない感じがします。
東城:そうなんです! 1,2年の濃さじゃない(笑)。
前田:もっと前から一緒にいるみたいな感じがするね(笑)。不思議です。
――前田さんは大きな武器を振り回す殺陣も含む舞台を経験してみて。どんな体験になりましたか?
前田:すごく嬉しかったです。でも、バキバキにカッコよくやってやろうと思っていたら、思った以上に大変でした(笑)。最初は舞台での立ち回り方も全然わかっていなかったので、とにかく筋トレを始めるところからでした。休憩中もずっと、2リットルのペットボトルに水を入れて、「今(こん)さんの」ってマジックで名前を書いて、ずっと片手で持っていたりして。舞台も、文字通りみんな命懸けてやっていたなって思います(笑)。階段を駆使する舞台だったので、殺陣をしながら階段を上ったり下りたりするのも難しかったし、逆にやってみて「自分はこれだけのことができるんだな」っていう自信にもつながりました。身をもって演じることで、叶星やリリィたちが普段置かれている、ヒュージがいる世界を体験することができたのは、グラン・エプレというチームを引っ張る上で、欠かせない経験だったと思います。
東城:みんな、チャーム筋肉痛って言ってたよね(笑)。
前田:(笑)そう、キャスト陣の中で「チャーム筋」というのがあって。鍛えてくると、チャームを持つときに盛り上がるという(笑)。
東城:わたしも、アニメ化される前の舞台に出たときに、ちっちゃいチャームを持たせてもらったんですけど、チャームが日常生活では絶対に持たない形をしてるから、取り回しがすごく難しかったです。
――おふたりは本来マイク前で演技をする仕事がメインの声優さんでありながら、『アサルトリリィ』に参加することで、自身の表現の幅が広がる体験をしているんですね。
前田:まさにそうです。
東城:確かに、チャームを振り回すのは普通に生きていたら経験できない、声優のお仕事では経験できないことなんですよね。
前田:そうなんです。舞台とかライブでの頑張りを思い出すと、多少大変なことや行き詰まることがあっても、だいたい乗り越えられる、というか。自分の限界突破ができた大事な経験でした。
東城:わたしも、今なら何があっても、「あのライブよりは緊張しないわ」って思います(笑)。
――2021年の年末には、グラン・エプレとしての単独イベントがありましたね。そのときのエピソードを聞かせてください。
東城:楽しかったね~。
前田:うん。『アサルトリリィ』として、初めてのレギオン単体のライブをやらせていただいて――まさかグラン・エプレが先陣を切らせていただくことになるとは、という気持ちでした。朗読や歌もあり――。
東城:お絵書きもあり。全員分のソロが聴けたのも、おいしいライブでした(笑)。
前田:(笑)唯一無二の単独ライブになったなあ、と思います。
東城:ラスバレ初の単独ライブで大成功することができて、よかったです。ラスバレに関わる一員として、成功体験というか、「ラスバレはまだまだどんどん行ける」って確信することができました。
前田:グラン・エプレが温かくて、チームワークも素敵で、ひとりひとりの個性もこんなに色とりどりなんですよって、しっかり伝えられたライブになった気がしています。わたしたちも緊張する部分はあったんですけど、まずは自分たちが楽しむことを大事にして、自分としては「今叶星サンタ」くらいの気持ちで(笑)、楽しんでもらいたいと思っていましたし、その気持ちは伝わったんじゃないかなって思います。
それと個人的にビックリしたのが、エーデルロイヤルコーンのグッズ化が発表されたこと(笑)。わたしが、ラスバレ放送局で謎のキャラクターを生み出してしまったんですけど、まさかこんなことになるとは(笑)。『アサルトリリィ』のスタッフさんは皆さんとても温かくて、このエーデルロイヤルコーン作りに情熱をかけてくださったんです。けっこう、完成まで時間もかかりました。会議を重ねて、わたしにも「どうでしょうか、前田さん」って確認もしていただいて(笑)。
東城:全面監修(笑)。
前田:「ここは、この色のほうがいいです」みたいな(笑)。
東城:「エーデルロイヤルコーン、グッズ化」って発表されたときに、思った以上にお客さんがみんな欲しそうだったのが面白かったです。「あっ、欲しいんだ?」って(笑)。
前田:(笑)メイクさんにも大好評でした。ちゃんと裏に「前田佳織里」って名前を入れてもらっていて。
――「マルシー前田佳織里」なんですか(笑)。
前田:はい、マルシー入ってます。「アサルトリリィ・チームとかじゃないんだ?」って(笑)。
東城:『アサルトリリィ』のいろんな派生コンテンツを追っかけていると、エーデルロイヤルコーン誕生から、出世した姿まで、全部一緒に楽しめるんです。
紅巴ちゃんも『アサルトリリィ』もグラン・エプレも、どんどん大きくなっていってほしい(東城)
――ライブも含めて。グラン・エプレのメンバーで長い時間を一緒に過ごしているのでは、と思いますが、5人の関係性や一緒にいるとき役割の役割って、どんな感じなんですか?
東城:バランスがいいよね。
前田:バランスいいね。あまねす(進藤あまね。丹羽灯莉役)は基本ニコニコしていて――。
東城:天真爛漫で、自由で。
前田:うん、自由だよね。
東城:でも、ちゃんとしてる。
前田:そうそう。あまねすにとっては先輩が多いと思うんですけど、気を遣っている感じはもちろんありつつ、それがあり過ぎないというか。
東城:ありのまま、伸び伸びと生きている。「健やかに育ってくれ~」って思っています。
前田:自然体の丁寧さがあって。
東城:一緒にいて自然に笑える、というか。けっこう年齢は離れていますが、女子高生なんだけど大人っぽいよね。
前田:そうだね、大人っぽい、落ち着いてると思うし。紅巴ちゃんと灯莉はキャラクター同士の距離が近いので、ふたりがワイキャイしてるのが素敵で、わたしは好きです(笑)。さやぱか(東城)も、ほんとにそこにいるだけで気持ちが和むし、ふわ~っとします。
東城:このまんまです(笑)。花凜ちゃん(礒部花凜。宮川高嶺役)は、パッと見すごくしっかりしているクール系な美女に見えるんですけど、実は天然なところ、ほわ~んとしたところもあって。
前田:しゃべり方もまったりしてる。
東城:そう、そこがかわいくて、すごく好き(笑)。
前田:(笑)ほわ~んとしているけど、高嶺ちゃんを演じるときにスイッチが入ると、もうブワッと変わるよね。普段の花凜ちゃんにも、高嶺ちゃんが持つ美しさ、気高さみたいなものがあるなあって感じます。わたしとしては、同じ事務所の子も多くて、(定盛姫歌の)富田美憂ちゃんはもともと先輩なんですけど、グラン・エプレでは逆の立場で、わたしがリーダーとして引っ張る姿が、美憂ちゃんとしては新鮮だったみたいです。この間、リハのときにわたしがひとりで舞台で踊っている姿を見て、泣いてたらしいです(笑)。
東城:(笑)美憂ちゃんも、リーダー感があるよね。
前田:あるある。ひめひめに似てるよね。
東城:似てる! 責任感があってリーダー感があって、「わたしが引っ張っていく」と言うわけではないんだけど、気づいたらみんなを引っ張ってくれてる、みたいな。美憂ちゃんはすごく熱血だし。
前田:そうだね。みんなそれぞれ熱血だよね。
――おふたりは、個人的にラスバレもプレイしてるんですか?
東城:めちゃめちゃやってます。大好きです(笑)。もう、生活の一部ですね。空いている時間はずっとやってる気がします。システム的にも、やればやるほど強くなるやり込み系のゲームなので、もう楽しくてしょうがないです(笑)移動中にコツコツやったり、朝までオートを回してたりします。
前田:それは効率的だあ。わたしも、移動中だったり家でのんびりとしてるときにプレイしています。
東城:全部のメモリアにお話がついてるのが、すごくいいなあと思っていて。
前田:確かに!
東城:キャラクターのいろんな側面が、ボリュームのあるノベルで読めるところがすごくいいです。キャラクターのことをたくさん知ることができるし――ゲームの話になると、めっちゃしゃべってしまう(笑)。
――(笑)ラスバレが1周年を迎えたということで、今後に向けて楽しみにしていることや、プロジェクトの一員としての抱負があれば聞かせてください。
東城:プロジェクトとして舞台だけをやっていた頃に番外編に出させてもらって、その頃からこんなふうにコンテンツが大きくなってきたのが感慨深いです。もともとファンだったこともあって、あの世界のリリィになれていることが信じられない、みたいな気持ちがずっとあります。みんながそれぞれ素敵なリリィだから、そこに紅巴ちゃんが関わって、どんどんハッピーになっていってほしいです。紅巴ちゃんのおかげでいろんな景色を見せてもらっているので、紅巴ちゃんも『アサルトリリィ』もグラン・エプレも、どんどん大きくなっていってほしいなあ、と思います。
前田:舞台で最初に叶星を演じたときから、もう2年くらいの付き合いになりますけど、当時はどういう子なのか手探り状態だった中で、アプリができて、ライブがあって、自分が所属するレギオンもできて――等身大で、ひとつひとつ一緒に夢を叶えていっている感じがしています。個人的にも、2年前の自分だったらできなかったことに挑戦させてもらっていますし、遊び心があるスタッフさんやいろんな役者さんに囲まれていて、「楽しいことやっていこう」みたいな驀進力があるプロジェクトだなあ、と思っています。だからわたしも頑張らなきゃっていう気持ちになりますし、これだけ応援してくださる方が増えたのは、日々ゲームをプレイしてくださる皆さんのおかげだと思うので、今後も楽しんでもらえるように、わたしも頑張りたいと思います。
――では最後に、お互いへのメッセージをお願いできますか。
前田:さやぱかは、最初に会ったときから「紅巴ちゃんだ!」って思った印象が強くて。同じチームにいてくれると空気がフッと和むんです。「あなたのこういうところが好き」って伝えることって、ちょっと照れちゃったり恥ずかしくて言えなかったりすると思うんだけど、さやぱかはそういうこともストレートに言ってくれるんだよね。
東城:めちゃめちゃ言います。
前田:わたしは、それがすごく嬉しくて。わたしも褒められて伸びるタイプだから(笑)、今後もガンガン、ラブをぶつけてきてほしいです。
東城:ラブがいっぱいです(笑)。
前田:わたしも、ぶつけていくし。だから今後とも、紅巴ちゃんと一緒に頑張っていきましょ。
東城:まさに紅巴ちゃんとわたしが似てる部分がそこで、「わっ、好き!」ってなったときに、そのまま言っちゃうんですね(笑)。「たかなほ」を演じている花凜さんとかおりんの尊い場面を見てしまったときも「わっ!」となって、「尊い!」って、思わず出ちゃうんです(笑)。「素晴らしい!」「美しい!」「かわいい」「最高!」ってどわ~っと言っちゃうんだけど、誰も引かずに聞いてくれるのが優しい(笑)。
前田:嬉しいよ、ありがとう(笑)。
東城:紅巴ちゃんと同じように、グラン・エプレのみんなに甘やかされています(笑)。舞台の裏でもかおりんに支えてもらっていますが、これからはわたしも支えられるように頑張ります!
前田佳織里さん・東城咲耶子さんのインタビューは、雑誌「月刊ブシロード 2022年3月号」にも掲載されています。ぜひご覧ください。
月刊ブシロード2022年3月号はこちら
取材・文=清水大輔
写真=有限会社エックスワン
ヘアメイク=中山 静