あざと犬!? 柴犬・コウちゃん怒涛の260画像! 「柴犬マニア」にたまらない1冊

暮らし

公開日:2022/3/5

柴犬コウちゃんの女子道入門
『柴犬コウちゃんの女子道入門』(井口省三郎withコウ/文藝春秋)

 柴犬は縄文時代から日本人と一緒に暮らしてきたともいわれる、我々の長年のパートナーだ。凛々しくて愛らしい独特の存在感、そしてたまらないもふもふ感…そんな柴犬の魅力は令和の時代も威力抜群! ハートをわしづかみされた「柴犬マニア」は日本だけでなく、いまどきは海外にも増殖中だ。

 このほど、そんな柴犬マニアにはたまらない1冊『柴犬コウちゃんの女子道入門』(井口省三郎withコウ/文藝春秋)が登場した。主人公は北海道函館在住の井口さん家の飼い犬・コウちゃん。すでにインスタやツイッターで人気者なのでご存じの方も多いかもしれないが、コウちゃんは10歳のベビーフェイスのキュートな女子犬。本書は大好きな旅先でのショットや家の中、函館の美しい風景の中などバリエーション豊かなコウちゃんの「キメ顔」が満載(なんと260画像!)。さらに井口さんの飼い主ならではのエッセイもプラスされ、読み物としても楽しい1冊となっている。

 実は筆者も柴犬飼い(コウと同じ10歳女子)なのだが、日々、柴犬はつくづく面白い生き物だなぁと思っている。一般に主人に対しては非常に忠実で気難しいといわれる柴犬だが、実は人間が大好きでフレンドリーな子も多い(本書のコウちゃんもそうだ)。「このまま溶けてしまうのではないか?」というくらいにゆるーい姿を見せたかと思えば、特有の頑固さでイヤなことにはとことん抵抗(散歩中に固まった柴犬をズルズル引きずる動画を見たことがある方もいるだろう)。ちなみにうちのワンコは名前を呼んでも反応しないほどマイペースなのだが、そんな柴犬のある種の人間くささがたまらない。本書はそんなじわじわくる柴犬の魅力が、コウちゃんの絶妙な表情&飼い主・井口さんのコメントからしっかり伝わってくる。柴犬マニアのみなさん、たまらんでしょう、コレは!

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柴犬コウちゃんの女子道入門

 ちなみに本書には「コウ辞苑」などSNSにはない特別企画もいろいろ。個人的にかなり共感した(というか笑った)のは「コウが実践する『愛犬財産法』」の10条目だ。海外のネットなどにある犬が所有権を主張する「Dogs Property Laws」というお遊びテキストをもじり、「ワンコが気に入ったものはその子のもの」とワンコフォーストなテキストが並んだ後で、「第10条 もしもそれが破れていたら、それはあなたのもの」とくる。

柴犬コウちゃんの女子道入門

 実際、我が家も飼い犬にヤラれたものは数知れないが(特に大事なものほどヤラれる)、「ヤラれるような場所に置いておいた自分が悪い」とワンコを責めないことにしている…というか、責めたところで反応はコウちゃんとまるで同じすっとぼけた表情。そのためぐっとガマンして諦めていたが、「どこの家も同じか!?」と思うとちょっぴり救われた(かも)。ありがとう、コウちゃん!

柴犬コウちゃんの女子道入門

 まだまだ元気なワンコでも、よく知られているようにドッグイヤーは人間よりもずーっと短い。10歳のコウはすでにシニア犬で、ここからの一瞬一瞬がさらに「かけがえがない時間」となってくる。飼い主にとっては暗黙の了解ではあるものの、なんだかとってもせつなくて、飼い主・井口さんの「常に今が全盛期」との言葉に胸がギュッとしてしまう。もちろん同じ犬飼いとして涙目で大共感だ。

 あぁ、早く家に帰って、我が子をもふもふしなければ!!

文=荒井理恵