大人数のコミュニケーションが苦手な方が、人の輪の中心になれるとっておきの方法

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公開日:2022/2/28

『複数人での会話がラクになる話し方』(みやたさとし/フォレスト出版)
『複数人での会話がラクになる話し方』(みやたさとし/フォレスト出版)

 1対1だと楽しく話せるのに、大人数になると空気みたいな存在になってしまう…。そんな悩みと、長年闘っている人にぜひ読んでほしい本がある。それが、複数人会話の攻略本『複数人での会話がラクになる話し方』(みやたさとし/フォレスト出版)だ。

 著者は、かつて会話が2往復以上続かない口下手で、新卒で入った会社になじめずに無職に。しかし、「自らの手で内向的なコミュ障に理想の話し方教室を作る」という志を立て、2017年に話し方教室「ハナサク会話堂」を開業。

 現在は話し方講師として、年間100人以上に向けて「内気な性格そのままで人並みの会話力を身につける」というコンセプトのコミュニケーション講座を開講している。

 本書では、複数人での会話が楽になる対処法を伝授。口下手・会話下手から抜け出すヒントを分かりやすく公開している。

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複数人での会話時こそ聞き上手に

 1対1であれ、複数人であれ、会話の中ですることは基本的には変わらないのに、なぜか人が増えると、会話に参加することが難しく感じられてしまう。

 著者いわく、それは「輪の中に入るには、たくさん話すしかない」や「知らない話題では傍観者になるしかない」「面白い話をしなければならない」といった思い込みがあるからなのだそう。

 しかし、実は複数人での会話では聞き役が2人以上になり競争が起きるため、話し上手になることよりも聞き上手を目指すのがカギなのだとか。そのため、「とにかく話さなければ」という思い込みを手放し、「どうしたらみんなが楽しく話せるか」と考え、グループで2番手以上の聞き上手を目指そうと著者は述べる。

話し役は聞き役全員に対して平等に視線を送るわけではありません。聞くのがうまい人(=話させ上手)のほうを向いて話す時間が圧倒的に長くなります。だからあなたの聞き方がうまくなるほど、輪の中心に入りやすくなります。

 著者によれば、聞き上手とは一言で言うならば「リアクションがいい人」なのだそう。リアクションは、話し役にしてみれば「あなたの話をちゃんと聞いている」「私は今、こう感じました」というメッセージに映るからだ。

 中でも、重要となるのが「うながす」「おどろく」「認める」のリアクション。例えば、「はい」「へぇー」「そうでしたか」などという、うながすリアクションは「ちゃんと聞いているので続きをどうぞ」というメッセージに映るため、話し役は安心して話を進めることができるようになるそうだ。

 そして、個人的に勉強になったのが、認めるリアクションの極め方。聞き上手になるには共感を示すことが大事だという話はよく見聞きするが、どんな話に対しても「わかる」と言うのは正直、難しい。

 しかし、著者はそもそも「わかる」は共感ではなく、「同意」だと指摘。真の共感は相手の気持ちを代弁し、理解を示すことだと語っている。

例:話し役「3万円の革靴買ったんだけど足が痛くてさ。高い靴ってダメだね」
聞き役:「えー。せっかくいい靴買ったのに残念ですね」

 こんな風に相手の感情を汲み取り、理解を示せば相手も心を開き、今まで以上の信頼を寄せてくれるように。著者の「聞き上手になるコツ」には心を掴み、輪の中で存在感を強める秘訣が詰まっているのだ。

会話が盛り上がらない時は情報質問ではなく、「人がら質問」を

 リアクションを使うことに慣れてきたら、次は質問スキルをアップさせていこう。なぜなら、質問を織り交ぜることができたら、会話を続けることが楽になり、3つのメリットも得られるからだ。

〈質問をすることで得られるメリット〉
①話し手の視線は質問者に向くので、質問を上手く使えば聞き役としての存在感が増す
②自分が興味を持てる話に持っていくことができる
③「あなたの話、もっと聞かせて」というメッセージを話し役に伝えられる

 質問というと、いつどこで誰と…という5W1H(=情報質問)が思い浮かびやすい。だが、こうした情報質問は会話のとっかかりとしては有効だが、場は盛り上がらない。

 そこで、著者はある程度、会話が進んだら情報ではなく、人にフォーカスした「人がら質問」をしようと提案。

 例えば、話し役がジョギングを始めたのであれば、動機や続ける中で相手の身に起きたエピソードなどを質問。「人がら質問」は、その人ならではの話を引き出せるため、聞き役は楽しんで聞け、話し役のほうも情報ではなく、自分自身に注目してもらえたことに嬉しさを感じ、承認欲求が満たされるのだという。

 本書には他にも、複数人での会話が盛り上がる自己開示のコツやいつでも使える万能話題なども掲載。新しい自分になれるヒントが、ここには詰め込まれている。

文=古川諭香