転職・退職を考えている人へ。「退職学」の研究者がすすめる、行動を起こす前にしておくべきこと
公開日:2022/3/1
“転職前と変わっていない気がします”
“転職前の不満がまた追いかけてくるかのようです”
「会社辞めたい」と思い、勇気を出して退職・転職をする。それを何度も繰り返しても、転職前と同じ悩みを持ち続ける人、何も変わらない人がいる。『「会社辞めたい」ループから抜け出そう!転職後も武器になる思考法』(佐野創太/サンマーク出版)は、退職・転職をうまく進めるための思考法、実践方法が紹介されている。
著者の佐野創太さんは日本初かつ唯一の「退職学」研究家。これまでにのべ1000名以上の退職・転職の悩みが寄せられ、その悩み相談を通じて、「退職後も声をかけられる最高の会社の辞め方」を体系化した。
退職・転職に動く前に、本音を磨く
退職・転職のためには、履歴書・職務経歴書の作成、企業分析、転職サイト・転職エージェントからの情報収集をする段階がある。その前には、「本音を磨く」ということが重要になるという。
佐野さん自身が、「本音磨き」によってキャリアが切り開くことができた人のひとりだった。新卒で入社した会社を1年で、次の会社を1カ月で退職した。短い期間に退職を繰り返したため、転職エージェントへの登録さえ断られた。無職だった当時を「どん底」だったと言う佐野さんは、ひとりになって本音と徹底的に向き合った。
それから新卒時の上司に連絡を取り、無職になったことを伝えたうえで、営業が辛かったこと、どんどん成長を求める社風についていけなかったことなどの本音を伝えた。すると、元上司は「戻る気があるなら上は通すよ」と、受け入れてくれたのだった。
“本音がわかると、人は驚くほど自分から行動的にも創造的にもなるのです”と佐野さんは伝える。
取るべき行動と、相談者のエピソードから学べる
本書の特徴は、転職・退職の考え方のみならず、行動を起こす前にあらかじめしておきたいことが具体的に紹介されていることだ。
・「退職成仏ノート」を作る…勤めていた会社の愚痴を書いておく。先に書き出して愚痴を「成仏」しておけば、面接で退職理由を聞かれたときに、つい会社の愚痴を並べてしまうのを避け、未来の話ができる。
・「人間関係の仕分けノート」を作る…人間関係を「つながり」「しがらみ」「無関心」にわけて書いておく。退職してしまえば、人間関係をすべて断ち切ってしまうか、特段の理由はなくても連絡が億劫になってしまう人もいるだろう。しかし、ともに働いた経験のある仲間のなかには、つながっておくべき人もいるはずだ。
・「明日への手紙」を書く…最終出社日を想定して、「つながり」を続けたい人に向けた本音の手紙を書く。手紙は、必ずしも渡さなくてもいい。ここで本音を磨けば、面接の言葉に説得力が出るのである。
終身雇用に守られる時代はすでに終わった。退職や転職が当たり前のものとして浸透している。
「会社辞めたい」――。
もしもあなたがそう思ったときには、行動に移す前に本書を読んでみてほしい。
文=遠藤光太