【5分でわかる、仕事の極意】人生、決めるときには決める! 『いざという時に結果を出す本番力』

ビジネス

公開日:2022/3/9

ロングセラーや話題の1冊の「読みどころ」は? ダ・ヴィンチWeb編集部がセレクトした『いざという時に結果を出す本番力』(和田裕美/ポプラ社)をご紹介します。

いざという時に結果を出す本番力
『いざという時に結果を出す本番力』(和田裕美/ポプラ社)

こんな人にオススメ!

頑張って準備したのにプレゼンで失敗しがちな人
ダイエットや資格の勉強など継続的な努力が苦手な人
ネガティブなイメージにとらわれがちな人

3つのポイント

要点1
コロナ禍でリモートワークが導入され、画面上で横並びに比較される今こそ、「自分から手を挙げる」「意識的に本番をつくる」ことは重要性を増している。

要点2
メンタル面では物事をポジティブに捉えること、フィジカル面では深呼吸やストレッチが特に重要だ。人前でコミットすることで一貫性の法則がはたらき、努力が継続できる。

要点3
本番前は入念にシミュレーションをして、本番でうまく話そうとしすぎないこと。伝えたいことの組み立ては構造的にわかりやすくし、相手との言葉の定義の差に注意する。

著者プロフィール
和田裕美(わだ・ひろみ)
京都生まれ。作家・ビジネスコンサルタント、京都光華女子大学キャリア形成学科客員教授。 外資系教育会社に入社後、プレゼンしたお客様の98%から契約をもらうという「ファンづくり」の営業スタイルを構築し、日本でトップ、世界142カ国中2 位の成績を収めた女性営業のカリスマ。2万人に一人の難関を突破し、女性初、最年少で支社長に就任。その後、同企業の日本撤退により独立。国内 外を問わず研修・講演を展開しており、「和田式売れる営業に変わるセミナー」「カセギスキル」など即日満席になる超人気セミナーの講師としても活躍している。 『人生を好転させる「新・陽転思考」』など著書多数で、累計発行部数は220万部を超える。近年はNHK Eテレ「芸人先生」、関西テレビ「イチ推しカンパニー SP」への出演など、メディアの枠を超えた活動を展開中。 また自身初の絵本『ぼくはちいさくてしろい』は小学校の道徳 の教科書に採用され、小学校で陽転思考の体験授業も開催している。

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コロナ禍だからこそ重要性を増す「本番力」

日本人は元来、西洋人と比べて調和を重んじる文化があり、人前で意見をいうことが苦手だ。しかし、リモートワークによって画面上で個人がクローズアップされやすい昨今、声の出し方や笑顔、リアクションを工夫するなど「本番力」をつける必要性は増している。メンタル面の対策として、無意識の考えを意識することで、緊張の原因が顕在化してパニック状態から抜け出せる。フィジカル面ではアドレナリンをコントロールするために深呼吸が有効である。大事なのは、日常的に「本番」を増やすことだ。

日常的に手をあげて、緊張状態に慣れてみる

それでは、ここでいう「本番」とは何か。人前に出る、アウェイである、期日が決まっているなどの要素で、失敗して恥をかく可能性がある瞬間のことである。緊張のない日々を過ごすと、自己成長の機会を失う、意欲がわかない、などの悪循環を生み出すため、「本番」はあえて自分でつくる必要がある。

本番を仕込むために手っ取り早いのが、「手をあげる」ことだ。たとえば、朝礼で聞いているだけでなく発言することは、話の内容に集中できたり、好感をもってもらえることもあり、一石二鳥。道をたずねるなどの声がけも有効だ。普段行かない場所に行くなど、アウェイに慣れることでひらめきや想像力も高まる。現地に先入りする、挨拶を先にするなど「先手必勝」を意識すると不利な状態になりにくい。よかったことを探す陽転思考、受け身的な視点から能動的な視点に物事を捉えなおす切り替え術も有効である。

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コミットメントで一貫性の法則をはたらかせる

人前でコミットすることで、その約束に行動を寄せようとする一貫性の法則がはたらき、目標を達成しやすくなる。目標に向かうとき、人には「戦略的楽観主義」と「防衛的悲観主義」の両方の態度があらわれる。前者は「こうなればいいな」というポジティブな原動力であり、後者は「こうなったらどうしよう」というネガティブな原動力といえる。ときに防衛的悲観主義は本番までの入念な準備に役立つため、100%悪いものではない。

コミットメントの条件は「自分で決めること」「人前で公表すること」「本番まで努力できること」の3つだ。特に努力の継続は苦手な人が多いが、対策として自分を監視している目があると意識することが有効で、部屋に鏡を置くだけでも効果がある。
また、「会社についたら→挨拶は先手必勝でする」など、条件反射的な本番用のルーティンをつくることも有効。こうした態度の変化は内面にも影響があり、結果も変わってくる。

緊張しているときは「見られている」という意識から、「自分が相手を見ている」意識に見方を変える。その際、「話を聞いてくれた人に幸せになってほしい」という自分の中での結果主義は大切にしつつ、実際の聴衆の反応には期待しないでよい。ポジティブなイメージをして、それを周囲に語り、ロールプレイすることでさらに本番に強くなれる。

最大限に力を発揮するための事前準備と心構え

本番のときは、自然体でなく「本番用の自分」で臨もう。緊張でアガってしまったら、アドレナリンが分泌されていると捉えて「もっとアゲてやる」と思うくらいでよく、多少どもっても一生懸命話すほうが相手の心に届く。「今日会う人たちに幸せになってもらいます」というような、自分だけの呪文を用意して心の中で唱えると不安に囚われにくくなる。他人から自分が緊張していることはわからないので、緊張しても開き直って笑ってみよう。

また、ときにコンプレックスをつかみに用いることで聴衆の関心をひける。プレッシャーを感じたら、これは相手からの期待感なのだと思おう。ものごとを勝ち負けで捉えるのではなく、「あなたの時間をいただけて感謝しています」という感謝の気持ちからスタートすると、表情や話し方が温和になり、結果的に勝つことにつながる。

出来事はひとつだが、解釈には「運がいい/悪い」の2通りある。運がいい人になるには、事実の中から幸せの種を自分で探すことが重要だ。こうして運が循環してくると、「自分はきっと大丈夫」と信じられるようになる。

本番中のアドリブは、相手を思いやる気持ちを忘れず、タイミングを逃さずにいってみる。会場では前方の席に座っていて、しっかりと自分の目を見てくれている「サポーター」を探すと、舞台上での自分の居場所になる。

自分と他人とで、使っている言葉の定義が違うことも意識しよう。たとえば「やさしい人」という言葉は人によって捉え方が異なる。単純な言葉に頼りすぎず、「励ましてくれてときどき厳しいことをいってくれる人」というように、掘り下げて説明するほうが理解してもらいやすい。

本番での話の組み立て方

導入は無理のない会話から入ろう。終わり方は制限時間ぴったりになるのが理想。話は最初と最後だけうまくまとまるように調整すると、すべての流れがよくなる。話そのものの組み立ては、家を建てるイメージだ。

「土台」には、一番伝えたいことをもってくる。柱となるのは「自分は何者で、この会社は何をしているのか」を伝えるための自己紹介である。

「壁」では土台で決めた「伝えたいこと」を具体的に表現する。

「天井」では、壁で掲げた内容を実現するための具体的なプラン、数値について語る。

「屋根」はクロージングトークにあたり、売り込みたい商品のよさなど、締めの話題をもってくると全体が引き締まる。他にも突っ込んだエピソードや聴衆の疑問に応答する話、成功談・失敗談を盛り込むことで相手を話に引き込むことができる。

話をするときには、平面的な情報だけでなく、どのような感覚、色彩であるかも伝わるような、立体的イメージで話すと描写がうまくなる。本や映画の感想をレビューするなどによって、普段からこうしたアウトプットを練習しておく。

また、本番で話している間に早口になってしまうことがあるので、都度自分を客観視しよう。水を飲むなどしてタイミングをつくるのも有効だ。

自分でコミットし、期限を切り、行動する。こうした繰り返しで本番に強くなると、楽に転換期を乗り越えることができる。チャンスをつかんでいこう。

文=大河内光明

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