あなたは朝型? 夜型? いま、「クロノタイプ」に着目した睡眠スキルが求められるわけ

暮らし

公開日:2022/3/22

朝型 夜型 中間型は遺伝で決まっている! クロノタイプ別 睡眠レッスン
『朝型 夜型 中間型は遺伝で決まっている! クロノタイプ別 睡眠レッスン』(穂積桜/KADOKAWA)

「クロノタイプ」という言葉を知っているだろうか。これは、いわゆる「朝型」や「夜型」、あるいはその中間に位置する文字通り「中間型」など、人それぞれが持つ睡眠のタイプのことだ。

 ぐっすり眠れるようになるための睡眠術を解説した書籍『朝型 夜型 中間型は遺伝で決まっている! クロノタイプ別 睡眠レッスン』(KADOKAWA)の著者であり、産業医として活躍する精神科専門医・穂積桜氏は、タイトルのとおり、このクロノタイプは基本的に「遺伝」によって決まっているという。つまり、「どうしても早起きが苦手で……」と悩んでいる人も、ただ遺伝的に夜型だからというだけのことかもしれないというわけだ。

 そして、コロナ禍によって睡眠が乱れがちないまこそ、自分のクロノタイプに着目しながら睡眠を見直す重要性が増していると著者は語る。

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自分のクロノタイプに着目しながら睡眠を見直す重要性

コロナ禍による「ワーク・ライフ・ブレンド」で乱れた睡眠

 コロナ禍によりリモートワークが広く浸透したことで「ワーク・ライフ・バランス」が崩れ、仕事と生活の境界があいまいになる、いわば「ワーク・ライフ・ブレンド」という状況に陥っている人が急増していると著者は見ている。そのなかで著者自身も多くのストレスを抱えた結果、睡眠が乱れたのだそう。

コロナ禍による「ワーク・ライフ・ブレンド」で乱れた睡眠

 そうして睡眠不足が続くと、さらなる問題を招くことも考えられるという。それは、「バーンアウト」というもので、仕事上のストレスによって起こる、いわゆる「燃え尽き症候群」のことだ。

 このバーンアウトは、ただ単に疲れ果ててしっかり働けなくなるといった問題にとどまらない。うつ病発症の可能性が高まる、風邪をひきやすくなる、胃腸の障害や頭痛を引き起こすといった健康問題の他、家庭問題や社会問題にまで発展する可能性があるのだそう。

健康問題の他、家庭問題や社会問題にまで発展する可能性が

 そして、不眠とバーンアウトのあいだには「不眠がバーンアウトを引き起こし、逆にバーンアウトが不眠を招く」という関係が成り立つために、いちどバーンアウトすると、不眠とバーンアウトをともに強めてしまうという悪循環にも陥りかねないと著者は強く危惧する。

睡眠スキルは、自分の健康を維持し、大切な家族を支える「一生モノ」

 だが、一方でいまは「チャンス」でもあると著者はいう。というのも、現在は多様な働き方を選べる時代になってきたからだ。先に触れたリモートワークも、本来はそのひとつ。他にもフレックスタイム制やフリーランスなど働き方の自由度が高まり、自分のクロノタイプにあった働き方や生活を選択することでより健康かつ快適に過ごせる環境が広まりつつある。

 ただ、健康かつ快適に過ごすには、自由度の高い生活のなかで生活リズムを乱すことがないよう、「睡眠スキル」をしっかりと身につけねばならない。わたしたちの心身にとって数え切れないほどの重要な働きを持つ睡眠は、先に挙げたバーンアウトといった問題の他、多くの病気や心身の不調を事前に防いでくれる「最強の予防医療」だと著者はいう。

睡眠スキルは、自分の健康を維持し、大切な家族を支える「一生モノ」

 もちろん、その睡眠スキルを身につけるための方法は本書に満載だ。そもそも良質な睡眠とはなにかということにはじまり、自分の睡眠のチェック法、「光」のコントロール、入浴のタイミングやその方法、眠れる体質になるための体づくり、睡眠薬やカフェインの扱いなどなど、「目からうろこ」のメソッドがいくつも紹介されている。

「目からうろこ」のメソッドがいくつも紹介されている

 これら睡眠スキルは、著者の言葉を借りれば「一生モノ」である。自分自身の健康を維持し、ひいては大切な家族やその人生を支えることにもつながるからだ。そんなスキルを身につけない手はない。

文=清家茂樹

【著者プロフィール】
穂積桜(ほづみ・さくら)
産業医、精神科専門医、漢方専門医、臨床心理士。札幌医科大学医学部を卒業し、精神科医として研鑽を積む。また、国立病院機構東京医療センター等において、内科、東洋医学の知識を幅広く習得。2014年より、精神科・内科の臨床経験のみならず、人事労務・法律の知識を併せ持つ産業医として活躍。