おかずやおつまみも! アボカド料理研究家が教える絶品アボカドレシピ集
公開日:2022/3/26
カテゴリーとしては果物でありながら甘みがなく、そのまま食べておいしいのはもちろん「食材」としての使い勝手もバツグンなアボカド。良質な脂質を豊富に含むアボカドは「森のバター」といわれており、カリウムやビタミンE、ビタミンB群など健康な体づくりに欠かせない栄養素がたっぷり詰まっている。
『まいにち食べたいアボカドレシピ』(緑川鮎香/宝島社)は、そんなアボカドを飽きずに普段の食事に取り入れられる、アボカドレシピだけを集めたレシピ本。著者の緑川鮎香さんは、「Avocados From mexico」が主催するアボカド料理コンテストで2度の連続優勝を果たしているアボカド料理研究家。「わさびじょうゆをかけるとマグロのトロの味になる」と言われて食べて以来、すっかりアボカドに魅了されたという。アボカド料理研究家というだけあって、そのレシピのバリエーションは非常に多岐にわたる。
筆者もアボカドは大好きでよく食べるが、思い返すと似たような食べ方ばかりしている……。ということで、メニューの幅を増やすべく、いくつか作ってみることにした。
「アボカドの山椒みそ漬け」(P.18)
1つめは「アボカドの山椒みそ漬け」。電子レンジで加熱しアルコールを飛ばしたみりん、みそ、粉山椒を混ぜ合わせ、縦半分に切って皮と種を取ったアボカドに塗ってラップで包む。あとは半日~1日ほど冷蔵庫に置いておけば完成だ。
漬け込むだけのお手軽レシピだが、みりんを加えた甘みのあるみそがアボカドに浸透し、ねっとり濃厚な味わいに。アボカドの持つ滑らかな舌触りがより強調され、味わえば味わうほど口の中に幸せが充満していく。単品で食べておいしいのはもちろん、お酒のおつまみ、ご飯のおかずとしての役割もしっかり果たしてくれる一品。
「アボカドタルタルの照り焼き甘酢チキン」(P.44)
2つめは「アボカドタルタルの照り焼き甘酢チキン」。まずは「アボカドのタルタルソース風」作りから。みじん切りにした玉ねぎを塩もみして流水で洗い流し水気をふき取ったもの、皮と種を取ったアボカド、マヨネーズ、酢、砂糖、塩コショウ、ワサビを混ぜ合わせればこちらは完成。続いて厚さを均等にした鶏もも肉に小麦粉をまぶし、フライパンで皮目からこんがり焼いていく。火が通ったら酢、醤油、砂糖を合わせたものを煮絡め、タルタルソースをかければ出来上がり。
照り焼きにタルタルソースという王道の組み合わせは、みんなが大好きな味。タルタルには卵を一切使っていないが、まるで卵が入っているかのような味に驚いた。ゆで卵を作らずに作れるタルタルは、覚えておくといろんなところで重宝しそう。
「角煮風肉巻きアボカド」(P.47)
最後は「角煮風肉巻きアボカド」。種と皮を取って8等分にしたアボカドに豚バラ肉を巻き付けて片栗粉をまぶし、油をひいたフライパンで焼いていったん取り出す。あとはフライパンに水、醤油、酒、みりん、砂糖、生姜を入れて煮立たせ、肉巻きアボカドを戻し入れて絡めれば完成。仕上げに白髪ねぎを散らす。
温められたアボカドは、生のねっとりとした食感とはまた違う、トロッととろけるような舌触り。豚バラ肉の強いうまみと少し青さを感じるアボカドを、生姜入りの甘辛味が見事にまとめ上げている。アボカドは温めるとクセが増すため加熱調理は避けがちだったが、この角煮風肉巻きアボカドは薬味の効果で無理なくおいしく食べられた。
どの料理も、アボカドの魅力を引き出す料理だったが、やはり一番驚いたのは「アボカドのタルタルソース風」。アボカドのクセをほとんど感じさせないマイルドな味わいなので、アボカドに苦手意識を感じている人にもぜひとも試してもらいたい。
『まいにち食べたいアボカドレシピ』には、レシピのほかおいしいアボカドの見分け方や切り方、便利な冷凍保存の方法なども紹介されている。また、巻末には付録として食べごろのアボカドを見分けることができる「当てて分かる!アボカドカラーCHARTマグネット」も。アボカドの使い方は無限大。おいしく健康に配慮した食生活が送れるよう、これから本書でアボカドを使いこなしていきたい。
調理、文=月乃雫