天海由梨奈「自分が一番近いファンのつもりでキャラクターを愛でています」声優図鑑
公開日:2022/4/11
キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチWebの恒例企画『声優図鑑』。第284回目に登場するのは、『ウマ娘 プリティーダービー』のミスターシービー役や『MILGRAM』のエス役を演じる天海由梨奈さんです。
両親の影響で物心がついた頃から声優に興味を持っていたという天海さんは、いわば声優のサラブレッド。現実になった声優の仕事にどう向き合っているのでしょうか。10匹のポメラニアンと戯れる休日の過ごし方など、プライベートのお話にも注目です!
ドッジボールでは“攻め”のタイプでした
——2014年の「81オーディション(声優事務所の81プロデュースが主催するオーディション)」で優秀賞などを受賞したことが、声優業界に入るきっかけになったそうですね。
天海:はい。でも、声優になりたいと明確に意識したことはないんです。家族がアニメが好きで、物心がついた頃には声優の仕事に興味を持っていました。学生の頃からちょこちょこと声優のオーディションを受けていて、本格的に声優としてお世話になることになったきっかけになったのが、81オーディションでした。
——それを機に養成所に入り、事務所に所属されていますね。幼少期はどんな子どもだったんですか?
天海:今は家にいることが多いのですが、昔は季節問わず半袖半ズボンのすごくアクティブな子どもでしたね。運動も大好きでしたし、部屋にいるより外で体を動かすほうが好きなタイプでした。
——外でどんな遊びを?
天海:ドッジボールもしたし、相手チームの陣地から宝を奪い合う「Sケン」も。守りより攻めるタイプでした。怖いんだけど、ボールや宝を取れた時のなんとも言えない高揚感が好きで。
——アクティブなタイプからインドア派に変わったということで、きっかけになる出来事はあったんですか?
天海:ここで変わったっていう明確な時期がわからないんです。でも、中学に入ってから1年間、部活に入らず帰宅部だったので、そのあたりかなって。中学2年からは友だちに誘われて、部員が足りなくて廃部寸前の卓球部に入りました。
——卓球部の救世主に(笑)。長く続けたんですか?
天海:大会には出ていないし、部活というよりみんなで放課後に卓球をするっていうくらいでしたが、中学にいるうちは続けました。同学年の子が多くて、ただワイワイするのが楽しい部活でした(笑)。
——高校でも部活を?
天海:中高一貫校だったんですけど、高校は、小学校から同じ友達が吹奏楽部に誘ってくれてやってみようかなと。3年間、青春を捧げました。
——吹奏楽部には魅力的な楽器がたくさんありますね。
天海:サックスとトランペットで迷いました。トランペットは吹奏楽部の花形なのですごく魅力的だったのですが、サックスも金ピカの見た目がかっこいいじゃないですか。サックスにもいくつか種類があって、私は中音域のテナーサックスを選びました。そのパートは、中学3年生と高校3年生の二人しかいなくて、自分が入れば先輩が卒業されてもパートの席を空けずにすむなって。
——印象に残っている青春のエピソードをぜひ聞きたいです!
天海:高3になって初めてコンクールに出演したことですね。高1の時は3年生の先輩がいたし、高2の時は、中学生だった子が高校生になって。学年としては自分が先輩ですが、楽器経験者としてはその子が先輩で。その子がめちゃくちゃ上手で!なので、高3でやっと舞台にのれた時は感動しました。
——養成所に通いながら大学にも通っていたとか。何を学んでいたんですか?
天海:哲学科に進みました。高校の倫理学の授業で、先生のお話がすごく面白くて。その時に神話の話や、生命倫理について興味を持ったので哲学科に進んだのですが、自分が想像していたものと全然違っていて、必修以外は気になる文学系の授業を学んでいました(笑)早く声優になりたくて単位だけ取るような大学生活だったので、今考えるともったいなかったかも…(笑)。
「限界を超えてみたい」と感じた『Project:;COLD』
——声優になってからは少年系からアイドル系までさまざまな作品に出演していますが、印象に残っている作品は?
天海:『3D彼女 リアルガール』(2018年/TVアニメ)です。同期の上西哲平くんが主人公の役で、同期が主人公を演じることで刺激が大きかったし、この作品を機にお芝居についてたくさん考えるようになりました。
——なるほど。いっぽうで、壁にぶち当たったようなキャラクターもありましたか?
天海:『Project:;COLD』(2020年〜)の佐久間ヒカリ役ですね。私、声があまり高くないんですよ。でも、ヒカリちゃんは元気で明るくて可愛い女の子。自分の声の高さだったり、お芝居だったりに苦戦した時もありましたけど、自分のできる範囲で演じてみようと決めてからは、試行錯誤しながら「限界を超えてみたい」と思えるようになりました。ヒカリちゃんを演じる時は、いつも以上にテンションを上げて現場に行くようにしています。
『ウマ娘』ミスターシービーのギャップが大好き
——『Project:;COLD』は今年3月に続編の「惨劇の五芒星事件」がスタートして注目されていますね。そして、『ウマ娘 プリティーダービー』で演じているミスターシービー役は、天海さんの代表作の一つになっています。
天海:声優が発表されたのはここ最近なのですが、実は私にとってミスターシービーは声優としてデビューして初めてオーディションに受かって、声を任せてもらえることになった子で。なので実はもう長い付き合いだったりします(笑)。
——キャラクターの好きなところを教えてください。
天海:もともとのお馬さんが「グッドルッキングホース」と言われるくらい綺麗なお顔で、ウマ娘のキャラクターもやっぱりお顔が素晴らしくて、初めて出会った時から顔が好きでした(笑)。どこか掴みどころのないウマ娘ちゃんなんですが、実は私生活が大雑把っていうギャップがあって。最近はそんな一面を見れるエピソードも追加されて。それを見てくださったトレーナーさんたちが普段とのギャップに喜んでくださっていて、私もとても嬉しいです!
——いつかミスターシービーとしてステージに立つ時が楽しみですね。
天海:私、シービーと同じ身長なので、そんなところにも“運命的な何か”感じていて。いつかミスターシービーとして、ステージに立つ日が来た際は、、ひと目見ただけでもシービーだってわかってもらえるように準備しておきたいです。
休日は“小さくて可愛い毛玉”と戯れます
——キャラソンを歌う機会も多いと思いますが、同じ声優の荻野葉月さんとカラオケに行くこともあるそうですね。
天海:私、葉月さんの歌声が大好きなんです!めちゃくちゃ歌もお上手で!お互いボカロが好きなので、ボカロ曲やアニソンをよく聞かせてもらっています。カラオケってある意味、小さなライブ会場じゃないですか。私だけが聴いているっていう優越感がありますね(笑)。
——なかなか贅沢ですね! お休みの日はどんなふうに過ごしていますか?
天海:基本的にベッドの中から動きません(笑)。今の時代ってスマートフォンがあれば何でもできるじゃないですか。ゲームも動画もあるし、SNSで情報を得ることもできる。。だから活動範囲は布団の上です。ラジオのお仕事もさせていただいているので、何かネタを探しに外に出た方がいいってわかってるんですけど…ダラダラしちゃいますね。それに、実家にポメラニアンが10匹いて、その子たちと戯れるだけで1日終わっちゃうんです。
——10匹も!?
天海:十人十色ならぬ、十匹十色です。子どもの頃から飼っているので、DNAに刻まれているレベルで大好きです(笑)。小さくて可愛い毛玉ちゃんたちが戯れているのが本当に可愛くて。ポメラニアン大好きです!
——たしかに小さくて可愛い毛玉ちゃんですね(笑)。では、布団の上でスマホで観ることが多いのは?
天海:たいていは、実況者さんのYouTubeを観ているか、アプリを操作しているか。実況者さんでよく観るのはガッチマンさんです。ホラーゲームが多いんですけど、自分でプレイするのは怖いので(笑)。実況を聞きながら楽しく観ています。
ファンタジー要素の強いバトル漫画が好き
——ダ・ヴィンチWebのユーザーに向けて、お気に入りの本や漫画もぜひ教えてください。
天海:親がジャンプ愛読者で、私も毎週読んでいたんですけど、小さい頃からバトル漫画が好きで。その中でも好きなのはファンタジー系のバトル漫画。学生時代に影響を受けたのは『青の祓魔師』と『D.Gray-man』ですね。悪魔とエクソシスト、という対比の存在、敵と唯一戦える武器を使う…めちゃくちゃ心くすぐられましたね…。語っていて気づきました。どちらも題材が「悪魔vs祓魔師(エクソシスト)」ですね(笑)
——特に気に入っていたキャラクターはいますか?
天海:『青の祓魔師』なら志摩廉造で、、『D.Gray-man』ならラビ。飄々として掴みどころのないようなキャラクターにはまりがちです!
少年役で喋って歌える声優でいたい
——いろんな役を演じている天海さんですが、演じてみたい役柄を挙げるなら?
天海:もともとVOCALOIDの鏡音レンがすごく好きで、今考えてみると、レンくんみたいな声で喋って歌ってみたいって思ったのが、声優になりたいと思ったきっかけだったのかも。なので自分の代表作のひとつであるMILGRAMのエスは、そんな自分の夢でもあった少年声で演じ、歌わせてもらっている本当にかけがえのない作品の一つです。今後もそんな少年役との出会いがあればと思っています!もちろん少年役だけではなく、ヒロインキャラもたくさん演じたいですし、ダウナー系のキャラクターにも興味があります。
——これからどんな声優になりたいですか?
天海:皆さんの好きな作品のキャラクターを安心して任せてもらえるようなそんな声優になれたら、と思います。なのでもっとたくさんいろんなお芝居に触れて吸収して、演技力のある役者目指して頑張ります!
——天海さんに注目している方にお伝えしたいことはありますか?
天海:今後も楽しくお仕事をさせてもらいつつ、皆さんにご報告できることを少しずつ増やしていけらたと思っています!どんなキャラクターも、自分が一番近いファンだと思って接しています。今後も私と一緒にキャラクターたちを愛でていただけたら嬉しいです!
——天海さん、ありがとうございました!
次回の「声優図鑑」をお楽しみに!
天海由梨奈
◆撮影協力
撮影=高木成和、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト」