なぜ走ることに惹かれ続けるのか? フルマラソンを経験して/安田美沙子のRunから始まる笑顔な暮らし⑥
公開日:2022/4/18
頑張りすぎない、ちょっと素敵な日常が垣間見えるインスタグラムが人気の安田美沙子さんは、走ることで、自分がよく分かるようになったといいます。どこが傷むのか。どう疲れるのか。どうケアすればいいか。自分の体のことが分かり、メンタルの安定感も得られるようになったそう。アラフォーとなり、健康食コーディネーターやランニングアドバイザーの資格も取得。2人の子育て真っ最中の彼女の忙しい日々を1冊にまとめた『安田美沙子のRunから始まる笑顔な暮らし: 美・食・走る 私のゆる楽しい日々の習慣』をご紹介。
Runと私
安田美沙子の半分は“フルマラソン”でできている
26歳でフルマラソンを経験してから、私の人生は豊かに変わりました。ここではなぜ、私が走ることに惹かれ続けるのか。その理由をお話しします。
初めてホノルルマランに挑戦してみようと思ったのは、2008年。フルマラソンは3か月で走れるようになると聞き、初めてなので半年前から調整しようと7月から準備を始めました。「JALホノルルマラソン2008」に初挑戦するということで、TBSの番組で密着が決まり、NIKEのトレーナーの方がふたりついてくださり、1時間のウォーキングから練習を始めました。4km、8kmと少しずつ距離を伸ばして、駒沢公園で10km、湘南で12〜13km走れたところであとは本番。4時間半を切ることを目標にハワイへと向かいました。
果たして結果は、4時間24分55秒で完走。目標達成、初回のタイムとしてもまずまずです。でも、私は自分のマラソンの内容に納得がいきませんでした。マラソンは1度走り始めたら最後まで歩かずに走りぬくもの。ところが、途中、どうしても“歩きたいな。歩いちゃおうか…”という、自分の中の悪魔の声に打ち勝つことができずに、ところどころで歩いてしまったのです。なぜあの瞬間、あんなことを思ったのかと、ものすごく悔しくなりました。ゴールできた達成感もありましたが、同じくらい“このままではやめられない”と、負けず嫌いが発動。翌年3月の「東京マラソン2009」にエントリーしました。
リベンジしたくて出場してみた2回めのフルマラソンは、悲しいことに、さらに納得のいかない結果となりました。雨とともに強風が吹いた3月の東京はとても肌寒く、予想外のハードな環境に足がつって、途中で泣きそうになりました。タイムは4分ほど下がり、私は頑張っても目標を達成できなかった自分を追い詰めて、2か月ほどうつうつとした気持ちですごしました。
するとコーチから、“とにかく今は割り切って受け入れなさい。ランで生活をもち崩してはいけない”と諭され、その言葉にはっとしました。
「目標タイムが切れなくても、仕事がうまくいかなくても、すべての経験には意味がある。ムダなことは何もない。マイナスにはならないから大丈夫」
走っているときに、そんな考えがすっと降りて来て、悟りを開いたように視界がパッと開けた気がしました。