ロシア・ウクライナ情勢、北朝鮮事情…「地政学」を知れば、ニュースの見方が変わる! 佐藤優が徹底解説!
公開日:2022/4/12
ウクライナ情勢や米中関係、北朝鮮問題、ミャンマーの軍事政権、タリバンのアフガニスタン支配、泥沼化するシリア内戦…この地球上には多くの現在進行形の懸案事項がある。社会人としては、そうした国際情勢をなるべくキャッチアップしておきたいものだが、いざきちんと理解しようとすると、その複雑さと情報量の前に立ち往生する方も多いのではないだろうか。
実はそんなときに「使える学問」がある。ある国の地理的条件(どこにあるのか、どんな海と山に囲まれているのか、資源は豊かなのか、気候は穏やかなのか、どんな川が流れているのか、どのような民族が暮らしているのか…など)をもとに、その国の政治や外交、行動原理などを読み解く「地政学」だ。このほど登場した『働く君に伝えたい「本物の教養」 佐藤優の地政学入門』(佐藤優:監修/学研プラス)は、知の巨人・佐藤優氏がそんな地政学のエッセンスをぎゅっと凝縮し、世界で起こっている「なぜ?」をわかりやすく教えてくれるうれしい一冊だ。発売即重版が決定し、地政学もメジャーな学問になってきた。
たとえば、海に囲まれた日本やイギリスのような島国とユーラシア大陸の内陸に広がるロシアや中国などの大陸国家とでは、外交・軍事・安全保障に関する基本姿勢が大きく異なるのは想像がつくだろう。
本書によれば「激しく移り変わる歴史の中で、地理は大きく変化しない数少ない要素であり、そうした地理的条件によってその国を読み解く地政学を利用すれば、世界と政治を最もシンプルに理解できる」とのこと。しかも世界が繋がっている現代社会では、特定の地域における政治・軍事・社会的な緊張の高まりはその国の問題だけにとどまらず、その地域、あるいは世界全体の経済活動に大きな影響を与えかねない。最近ニュースで「地政学的リスク」との言葉を見かけるが、それはそうした悪影響を指しており、地政学を使えば世界の先行きを見通すことができるというわけだ。
ビジネスに役立つ「本物の教養」が身につく入門書シリーズの第一弾として刊行されただけに(※)、とにかく本書はコンパクトでわかりやすいのがいい。地政学の基礎知識からはじまり(なんと地政学はナチスの御用学問として発展したという)、「アメリカ・中国・ロシア 大国の戦略」「日本とアジアのリアル」「中東、ヨーロッパは何を考えているのか」「世界の未来予想図」の章に分け、見開きでワンテーマずつにポイントをしぼってイラストつきで解説してくれる。「ロシアのウクライナ侵攻はなぜおきたのか?」「中国とロシアはなぜ友好関係にあるのか?」「なぜ北朝鮮は強気でいられるのか?」「米中は本当に新冷戦といえるのか?」など気になる国際情勢の背景を端的におさえられるだけでなく、地政学的な視座が身につけば「今後どうなるか?」を自分でも予測していけるかもしれない。
(※)同シリーズの『働く君に伝えたい「本物の教養」池上彰の行動経済学入門』も同日に発売。
「世界の動き、国際政治の思惑が見えてくる『地政学』は、ビジネスにもプライベートにも生かせる唯一無二の学問です。地政学の基礎知識を身につけることで、世界情勢の『裏側』や各国の思惑が手に取るようにわかります」と佐藤氏。本書で「使える教養」をバッチリおさえて、「世界がみえる」ビジネスパーソンとして春から一歩リードしてほしい。
文=荒井理恵