平和になった世界で大人のロックマンが歯科医に! そしてかつて敵だったロボットたちは?『ロックマンさん』/マンガPOP横丁(105)

マンガ

公開日:2022/4/8

ロックマンさん
『ロックマンさん』(河田雄志、行徒:著、監修・協力:株式会社カプコン/KADOKAWA)

 前回、思い切った展開のギャグで評価の高い河田雄志先生と行徒先生による、カプコン公認の人気ロボットアクションゲーム『ロックマン』を題材にしたギャグマンガ『ロックマンちゃん』をご紹介した。これを機に作品を手に取っていただいた方、ありがとうございます。しかし、私が紹介したいのはこれだけではない。実は、同コンビによるもう1つのロックマンマンガ、『ロックマンさん』(河田雄志、行徒:著、監修・協力:株式会社カプコン/KADOKAWA)が同時刊行されていたのである!

描かれるのは大人になったロックマンの時代

 20XX年、ロボット工学の第一人者であるライト博士がロボットを作るたびに、ライト博士を憎むDr.ワイリーの手によってロボットたちが暴走する事件が起きていた。これを解決するため、ライト博士はかつて自らが生み出した家庭用お手伝いロボット・ロックマンを戦闘用に改造し、ロックマンを戦いに出すのであった。時は流れ、ライト博士は還暦で第一線から退き、さらにDr.ワイリーもそれまでの気持ちを改めたことで世界は平和になった。すっかり大人になったロックマンは、かつての戦いで敵から得た特殊武器を活用し、なんと歯科医として日々を過ごしていた。一方で、Dr.ワイリーによって暴走していたかつてのボスロボットたちはというと、本来の姿である作業用ロボットとして社会で活躍していたが、彼らの第2の人生は、ロボット技術の急速な進化による現実と戦いながらの毎日だった。かつて“ロックマンキラー”と言われた彼も……。そんな中、ロックマンのもとにロボットによる事件の一報が入る。果たして彼らの目的とは? 平和な日常を過ごすロボットたちが奮闘する新たな物語が始まる――。

注目はボスロボットたちの“その後”

 本作は戦いを終えたロックマンとそのロボットたちの“その後”を描いた作品になっている。まずロックマンが歯科医になっていることの衝撃! 歯の治療中に口の中の唾液を飛ばすためにエアーマンから獲得した特殊武器「エアシューター」を使うなど、思わず「そうきたかー!」と感心した。これが武器の平和利用というやつか! 一方で元ボスロボットたちは、彼らが持つ特殊能力を生かした仕事に励んでいる。例えばガッツマンは土木作業での力仕事、スターマンは宇宙事業の仕事などだが、中には“今の自分”に悩みを持つロボットも。その悩みにロックマンは「ロボット居酒屋8ビット」で「大人のE缶」を飲みながらロボットたちの心の回路を救っていく。そんな彼らの奮闘する姿はとても心を打つので必見だ。

 ということで前回の『ロックマンちゃん』に引き続き『ロックマンさん』をご紹介した。ロックマンがライト博士にムチャぶりされながら世界平和のために戦う時代と、その後の平和になった時代。新しい2つのロックマンワールドはセットで楽しむのがオススメ!

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう