尻込みせず、無謀なことにもチャレンジする。大事なのは「やったもん勝ち」精神/心を鍛える
公開日:2022/4/22
仕事や私生活にかかわらず何かと窮屈になった現代社会、不安やストレスに悩みを抱えながら生活している方は多いのではないでしょうか。
今回ご紹介する書籍は、IT業界の盟友でもある、堀江貴文さんと藤田晋さんが自身のキャリア、生い立ち~未来のことまでを語り合う一冊です。ストレスがつきまとう現代に、大切なのは「頭の良さ」よりも「ハートの強さ」。心を鍛えるとはどういうことなのか?
『心を鍛える』で、IT業界を牽引する2人の経験から、強く生きるヒントを学んでみませんか。
※本作品は堀江貴文、藤田晋著の『心を鍛える』から一部抜粋・編集しました
中学時代に気づいた「やったもん勝ち」精神
藤田 晋
堀江さんから「最初の恩人」という素敵な話が出ました。そのバトンを受け取り、私もそのテーマで続けたいと思います。
幼少期にまでさかのぼり、「最初の恩人」について思いを巡らせる営みは、〝やんちゃな頃の気持ち〟を思い出させてくれます。
私の「最初の恩人」は中学時代からの親友、竹内朋康君です(元SUPER BUTTER DOGのギタリスト、現TOMOYASTONE)。意外に思われるかもしれませんが、今も現役で大活躍しているアーティストと幼馴染だったのです。もちろん、大人になってからもライブやイベントに参加するなど、今でもつきあいを続けています。
いったいなぜ、彼が私の〝恩人〟だったのか。詳しくご紹介しましょう。
小学校の卒業文集に「作家になりたい」と書いた私でしたが、中学に入ると、さっそくバンド活動を始めました。作家への憧れはもちろんありましたが、当時は「イカ天」(TBSの深夜番組『平成名物TV』の1コーナーである「三宅裕司のいかすバンド天国」の略)の影響もあって、空前のバンドブームでした。そこで私も、友人らとバンドを組みたくなったのです。目立ちたがり屋だった私はボーカルです。
さらに中学3年生になって、生徒会長に立候補しました。
理由は明白。「学園祭で自分たちのバンドの出番を確保するために、権力を握る必要がある」と思ったからです。
見事、生徒会長に当選した私は、バンド仲間で生徒会を牛耳りました。1500人もの生徒がいるマンモス中学の生徒会長ですから、私はかなりの知名度を得ることになります。
そして、学園祭でも私たちのバンドは大声援を浴びました。そのとき私は「あっ、やっちゃえばできるんだ」「やったもん勝ちなんだ」と気づいたのです。
普通は、そんな大胆なことは思いもつかないし、「自分なんて、とても……」と尻込みする人が多いかもしれません。でも、私は生徒会長に立候補して、実際に生徒会長になってしまいました。「案ずるより産むが易し」と言いますが、まさにその言葉通り。
特に若い人は尻込みしすぎず、無謀に思えることにも挑戦するのをおすすめします。
高校進学後も私はバンドを継続します。勉強はそっちのけで、高校3年生まで活動を続けていました。しかし進路を決める時期になり、懊悩することに……。
大学受験をするか、好きな音楽を極める道に進むか。選択を迫られたのです。
このとき、もし「竹内朋康」という男が友人ではなかったら─。私は夢を見たまま、音楽への道を選んでいたかもしれません。
実は、私はボーカル担当なのに、歌がそれほどうまくなかったのです(笑)。
謙虚にそう思えたのは、竹内君のおかげ。なにせ彼は音楽の才能が突出していたのです。だから私は「自分の実力は大したことがない」と冷静に認知することができました。
誰でも若い頃は、こう考えたことがあると思います。
「自分には無限の可能性がある」「なりたいものに何でもなれる」
もちろん私も、そう考えていました。また今でも、そう考えられるポジティブさを保ちたいと願っています。しかし実際は、厳しい現実を直視することも必要です。
「自分の実力は、どのレベルか」「客観的に見て、その道で自分の力を活かせるか」
自身が北極星のような輝きを放つことで、私に正しい認知をさせてくれた恩人・竹内君には感謝しかありません。
もしあなたが、なんらかの決断に悩んでいるとしたら、その世界で突出した人と比べてみるのもいいかもしれません。大切なのは自分で決断を下すこと。私も、音楽のプロへの道は、自分の意志であきらめました。
親から「音楽なんてやめなさい!」と一方的に夢を否定されていたら、反発して音楽の道に進みたくなっていたかもしれません。何でも「自分で決めた」「自らの意志で選び取った」と思えば、後から悔やむことは少ない気がします。
目標に向けて心を強くする前に、「本当にこの方向でいいのだろうか」と随時確認する作業は、意外と大切なのかもしれません。