電動アシスト自転車は現代技術の粋を集めた乗り物だった!/身のまわりのすごい技術大百科
公開日:2022/4/14
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電気の力で走行を手助けしてくれる「電動アシスト自転車」が人気だ。実はこれ、現代技術の粋(すい)を集めた乗り物なのだ。
1993年(平成5)に第1号車が発売されて以来、一時的な停滞(ていたい)はあったものの、電動アシスト自転車は年々売り上げを伸ばしている。免許が不要で従来の自転車のように手軽に乗れる、などが人気の理由だ。
電動アシスト自転車は、さまざまな現代技術の集大成といえる。上(のぼ)り坂ではペダルを踏む力を助けてくれるが、その力を提供する電動モーターは軽量コンパクト。これは、中国との政治問題で有名になったレアアースを利用した強力な磁石ネオマグのおかげだ。さらに、このモーターに電力を供給するのは、優秀なリチウムイオン電池である。
まさに現代技術の粋を集めたコラボレーションで、電動アシスト自転車は快適な乗り物になっているのだ。
ところで、高機能の電動アシスト自転車には発電機能が搭載(とうさい)されている。下り坂で充電ができるのだ。ちょうど、人をエンジンに見立てたハイブリッドカーのようになっている。
電動アシスト自転車は電動自転車(つまり電動バイク)ではない。道路交通法の制限があるからだ。法律では、電動アシスト自転車を「人の力を補うための原動機を用いる自転車」と定めている。人の力を補う以上の原動機を搭載してはならないのだ。
「人の力を補うこと」の意味をもう少し詳しく説明しよう。例えば、時速10キロ以下では、人力を1とした場合、最大2までしか補助してはならない。また、時速24キロを超えると補助をしてはならないとの規定もある。踏み出したときの低速時には強くアシストし、ある程度スピードが出たらアシストをなくすよう定められているのだ。
こうしたデリケートなチューニングを実現するには、ペダルを踏み込む力や走行スピードを検知するセンサーが必要である。また、それらの情報をもとにモーターをコントロールする制御用コンピューターも不可欠だ。こうした技術が相(あい)まって、現代の電動アシスト自転車が存在しているのだ。
涌井 良幸/涌井 貞美