働くのが息苦しい……そんな人に知ってほしい! 自由に働く「組織のネコ」という働きかた

ビジネス

公開日:2022/4/14

「組織のネコ」という働き方 「組織のイヌ」に違和感がある人のための、成果を出し続けるヒント
『「組織のネコ」という働き方 「組織のイヌ」に違和感がある人のための、成果を出し続けるヒント』(仲山進也/翔泳社)

 会社から言われたことを忠実にこなそうとするだけの日々に違和感を覚える。別に出世には興味はない。ただもっと自分の意志をもって、もっと自由に働きたいだけなのに、どうして上手くいかないのだろう。

 そんな風に働くことに息苦しさを感じているという人に読んでほしいのが、『「組織のネコ」という働き方 「組織のイヌ」に違和感がある人のための、成果を出し続けるヒント』(仲山進也/翔泳社)。楽天という大企業に勤めながらも、“兼業自由、勤怠自由の正社員”として働く、楽天大学学長・仲山進也氏による一冊だ。あなたが働き方に悩む原因は、もしかしたら自分の価値観に合わない働き方をしているせいかもしれない。仲山氏は、今の働き方に違和感を覚える全ての人に、組織の中でもっと自由に働くためのヒントをくれる。

advertisement

組織にいるイヌ・ネコ・トラ・ライオン

 仲山氏は、組織で働く人を動物にたとえた4つのタイプに分類する。

「組織のネコ」という働き方 「組織のイヌ」に違和感がある人のための、成果を出し続けるヒント p.3

・「組織のイヌ」:組織に従順で自分の意志よりも社命を優先する。
・「組織のネコ」:自由を好み、ときに社命よりも自分の意志を優先する。
・「組織のトラ」:ネコの進化系。社命より使命を優先する。
・「組織のライオン」:群れを統率する。

 仲山氏によれば、この4タイプはどれが良くどれが悪いというわけではなく、どのタイプも組織に必要不可欠だ。だが、これまでは、組織重視の「イヌ」「ライオン」タイプが評価されやすく、多くの人にとって「組織のイヌ」となり、会社のために従順に働くことが当たり前だった。しかし、現代では、実力主義や多様性の広がりによって、「ネコ」「トラ」タイプの働き方にも注目が集まっているのだと仲山氏は言う。

息苦しいのは「隠れネコ」だから?目指すは「組織のトラ」

 もし、あなたが組織に忠実でいることに息苦しさを感じているのであれば、イヌの皮をかぶったネコ「隠れネコ」として毎日を過ごしているせいかもしれない。仲山氏は10項目に及ぶ「組織のネコ度チェックリスト」を紹介しているから、まずは自分のネコ度を診断してみてほしい。「『仕事は苦役であり給料はガマン料』という考え方にモヤモヤを感じる」「お客さんに喜ばれない仕事はやりたくない」「指示された範囲外でも、よいと思ったことはやる」……。そんな項目の中で1項目でもあてはまると、この先ずっと同じ働き方だと健康によくないタイプなのだそうだ。そんな人は、「組織のネコ」として働いてみてもいいのではないだろうか。そして、「組織のネコ」として生きようとするならば、さらに、組織の中で自由に振る舞いながらも着実に結果を出していく「組織のトラ」への進化を目指してみてほしいと仲山氏は語る。

「組織のネコ」という働き方 「組織のイヌ」に違和感がある人のための、成果を出し続けるヒント p.34

組織にいながら健やかに働く「組織のトラ」という働き方

 仲山氏は「組織のネコ・トラ」として働く方法を、「組織のトラ」14人への取材をもとに明らかしていくのだが、紹介される事例はどれも極めてユニークだ。銀行でありながら、全国4万人の会員がいるファンサイトを作り、萌えキャラを誕生させたという地方銀行所属の会社員。従来とはまったく異なる切り口から事業を生み出した100人の革新者を自ら発掘し、ネットワーク化したという大手シンクタンク所属の会社員。楽天との連携協定をわずか2ヵ月半で実現させたという県庁職員。——読めば読むほど、ワクワクさせられてしまうものばかりで、自分の分野とは全く異なる仕事の事例であろうと、「自分の仕事だったら、どう生かせるだろうか」ということをつい想像してしまう。群れに組み込まれることは好まず、社命よりも、顧客や社会のため、この会社でできることは何かを常に考え、実践していく。そんな「組織のトラ」としての働き方に憧れを抱いてしまうに違いない。

「組織のネコ」という働き方 「組織のイヌ」に違和感がある人のための、成果を出し続けるヒント p.111

 何も「組織のイヌ」になることだけが働き方ではないのだ。この本を読むと、仕事との向き合いかたが変わってくる。どうすれば今の息苦しさから脱却できるかが見えてくるような気がする。自分の働き方に違和感を覚えているならば、あなたもこの本をもとに「組織のネコ」「組織のトラ」を目指してみてはいかがだろう。無理に「組織のイヌ」になろうとする必要はない。あなたの実力が発揮できる最善の働き方が他にあるに違いないのだ。

文=アサトーミナミ