ドローンとラジコン飛行機の違いは何?/身のまわりのすごい技術大百科
公開日:2022/4/20
身近なモノのしくみが図解で丸わかり!『雑学科学読本 身のまわりのすごい技術大百科』(涌井良幸・涌井貞美著)で身近なモノに秘められた感動ものの技術について学びましょう。
事件現場の撮影や作況の確認、被災状況の把握などにドローンが活躍中だ。これまでのラジコン飛行機とどう違うのか。
ドローンとは、英語で「雄のミツバチ」のこと。いま話題の「ドローン」は、その名の通りミツバチのように小回りが利き、動作音もハチの羽音に近い模型飛行機だ。このドローンは、昔ながらのラジコン飛行機やヘリコプターとどう違うのだろうか。
最初に日本でドローンが話題になったのは、アフガン地域における米軍の「テロとの戦い」においてである。そこで投入された無人飛行機が「ドローン」と報道された。自動航行ができ、遠隔操縦もできる飛翔体をそう呼んだのである。
ここからわかるように、ドローンは人の手を介在しなくても一定の飛行ができ、必要なときには遠隔操縦もできる飛行物体をいう。人が完全に操縦する昔ながらのラジコン飛行機とは多少ニュアンスが異なるのである。
いまの日本では、「ドローン」という言葉に「兵器」を重ねる人は少ない。多くの人は複数の回転翼を持つ模型ヘリコプターを連想するはずだ。玩具程度ならば数千円で手に入る。操縦も簡単で、少し練習すれば上手に飛ばせるようになる。一昔前のラジコンの飛行機やヘリコプターが高価で操縦も難しかったことに比べ、これは格段の違いである。
なぜドローンはこれほど安価になり、操縦しやすくなったのだろう。その理由は面白いことに、スマートフォンにある。ドローン技術の多くはスマートフォンからの転用なのだ。
例えば、ドローンが小型軽量になるには、軽くて長持ちする強力なバッテリーが必要だ。それはスマートフォンとも共通する。
また、飛行を安定化させるには、例えばジャイロセンサーと呼ばれる位置制御センサーが必要だが、それもスマートフォンですでに利用されている。ジャイロセンサーは回転や向きの変化を検知するセンサーのことで、MEMSと呼ばれる素子がその役割を担う。このセンサーは、ドローンが上下・左右の向きや動きを検知して安定飛行するのに不可欠だが、それは「ポケモンGO」のようなゲームを提供するスマートフォンにも欠かせないものだ。
涌井 良幸/涌井 貞美