実在するおとりよせグルメが続々登場! 向井理×北村有起哉でドラマ化も話題の『先生のおとりよせ』がおいしい理由
更新日:2022/4/28
ネットで注文すれば、全国のおいしいものが自宅に届く“おとりよせグルメ”。4月から放送がスタートしたテレビドラマ『先生のおとりよせ』は、そんな便利で楽しいおとりよせにフィーチャーした作品です。
ドラマの原作は、同名作品『先生のおとりよせ』(中村明日美子:漫画・挿絵、榎田ユウリ:小説/リブレ)。同作は、漫画と小説で紡がれた異色作で、漫画家の中村明日美子先生が第1話を漫画で描き、小説家の榎田ユウリ先生が小説で第2話を執筆、第三話は漫画……というリレー形式で連載され、話題になりました。
おもな登場人物は、新雑誌のコラボ作品企画をきっかけに出会った、無愛想でドSの官能小説家・榎村遥華(ドラマで演じるのは向井理)と、フェミニンでドMの美少女漫画家・中田みるく(北村有起哉)というふたりの“先生”。性格が正反対のふたりが共通の趣味である「おとりよせ」を満喫しながら、共に作品を作り上げていく物語です。
ふたりが作中で生み出した共同作品『花魁バンパイアKYOKO』のストーリーもかなり尖っているので紹介したいところですが、この『先生のおとりよせ』の主役は、まさに“おとりよせ”! 毎回、実際に購入できる商品が登場するので、読み終えたあとにスマホで注文したくなる……ライブ感満載のグルメ作品になっています。
最大の魅力は、私たち読者の食欲を掻き立てる両先生の類まれな“描写力”にあります。まずは、中村先生が漫画を担当した第1話で、中田が持参した永楽屋の「琥珀」という寒天菓子を食べたときに、榎村が心の中で発した食レポを見てみましょう。
なんだこの食感…! 寒天のまわりを砂糖でコーティングしているのか…? さくっとした表面の歯ざわりに滑らかな舌ざわり…あなどれん! そうだ…和菓子の寒天というと甘さの強いイメージがあるが…これはとても甘さ控えめ。ゆえに、柚子の味がしっかりと生きている…。
榎村のコメントと、中村先生の繊細なタッチの絵柄が相まって「ゆずの味がふんわり広がる、とても上品な和菓子なんだろうな……」なんて妄想が膨らみます。
もちろん小説を担当する榎田先生も負けていません。以下は、第4話で榎村がとりよせた銀座若菜の「とうふ味噌漬」を中田が食べるシーンの一部抜粋です。
(中田が)最初に箸をつけたのは『とうふ味噌漬』だった。
「……あら」
ひと口食べて、軽く目を見開く。
「あらあらあら。チーズみたい。あらあらあら美味しいっ」
「そうなんだ。チーズっぽいのにごはんに合うというのがまた……。これは信州味噌のほうだが、八丁味噌のバージョンもある」
「お酒にも合いそう~。ワタシ飲めないけど」
「カナッペに乗せたりしたら、本物のチーズが焦りを覚えるほど合うと思うぞ。俺も飲まないが。あと、これで白和えを作っても旨いらしい」
どうですか。お酒好きな人は、今すぐにとうふ味噌漬で一杯やりたくなりませんか?
また、小説パートは強調したい文章が太字になっていたり、フォントが変えてあったりするので、キャラの感動が読者に伝わりやすい仕様になっているのも特徴です。ちなみに上記の部分は「チーズみたい」と「白和え」のフォントが大きくなっていました。とうふ味噌漬の白和え、絶対に食べたい!
もちろんおとりよせの食レポだけでなく、出会った当初は喧嘩ばかりしていた榎村と中田が“仕事のパートナー”として認め合っていく経緯も丁寧に描かれています。おとりよせ好きはもちろん、お仕事モノとしても楽しめる一石二鳥の作品なのです。
ドラマでは、榎村を向井理さん、中田を北村有起哉さんが演じています。日本屈指の俳優陣が、官能小説家とフェミニン男子の漫画家という濃厚なキャラクターを全力で演じる姿も必見です!
原作を先に読んで商品を注文し、ドラマの放送を見ながら自分も同じものを食べる……。そんなふうに『先生のおとりよせ』を楽しむのもアリかもしれません。
文=とみたまゆり