缶詰を直火にかけると…? 正しいキャンプのルールを専門家集団が解説!
公開日:2022/4/23
キャンプを始めた。去年の秋、買ったばかりのテントや寝袋などをバイクに括り付けて颯爽とキャンプ場へ。初めてのテント設営は時間がかかったし、焚火はなかなか火がつかなかった。それでも自然の中で炎を見つめながら、ゆったりとした最高の時間を過ごすことができた。
一度始めてしまうと、動画やSNSでキャンプ情報を収集することもこの趣味に加わる。近年のキャンプブームも相まって、キャンプにまつわる情報は本当に多い。そして玉石混淆なので、正直なんだか怪しいものもあったり……。
そんな私のようなキャンプ初心者~中級者におススメしたいのが『キャンプのあやしいルール真相解明 ―根拠のない思い込みにサヨウナラ―』(山口健壱/三才ブックス)。本書ではさまざまな分野の専門家43名が、世にはびこるキャンプの定説にメスを入れる内容となっている。早速だが本書に書かれているルールを3つ紹介したい。
その①「缶詰を直火で調理しても大丈夫って本当?」
キャンプに慣れてくると、可能な限り荷物を増やしたくないし、洗い物も増やしたくない。そんなとき、夕食で食べようと思っていた缶詰に目を移す。
「缶詰ってそのままバーナーであっためれば良くね?」
そう、魔が差してしまうことはないだろうか。これってアリなの? その疑問に有識者はこう答える。
むしろ絶対に避けてください
曰く、未開封の場合、缶詰が破裂したり、蓋を開けた瞬間に中身が飛び出したりする危険性がある。さらに開封したら缶詰の塗膜が融解して、中身と一緒に人体へ。体に不調をきたす可能性もあるそうだ。
ちょっとした楽を取って、ケガや病気になってはせっかくのキャンプが台無し。洗い物・荷物が増えても、おとなしくクッカーを使って料理しよう。
その②「キャンプ場の木を切って薪にすると上級者っぽいって本当?」
おもむろに、ノコギリやナタを使って手近にある木の枝を伐採。
「ほら、薪を確保したよ。これで焚火しよう」
その慣れた手つきに男らしさを感じて思わずキュン。とはならないだろうが、なんだか上級者っぽい雰囲気だ。
いや、これは私のようなキャンプビギナーでも分かる。NGだ。キャンプ場で説明されるルールや案内に書かれているから、自分でキャンプ場の利用手続きをしたことがある人はお分かりいただけるだろう。しかし、なぜダメなのかはよく分かっていないのが事実だ。
本書の専門家集団の弁護士によれば、キャンプ場の木は土地の所有者のもので、勝手に切るのは「器物破損」で3年以下の懲役、または30万円以下の罰金、薪として使おうものなら「窃盗罪」が適用され、10年以下の懲役、または50万円以下の罰金となるそう。
確かに、人の家の庭に美味しそうな柿がなっていて、それを勝手に取ってしまえば犯罪だ。当然、キャンプ場は自分の庭ではない。木を切りたければ、自分の庭に植えて、好きなだけ切ろう。
その③「キャンプ場以外の場所ではキャンプしちゃダメって本当?」
何度かキャンプを経験すると、ふと目に映る森林や河原に、キャンプできそうだなぁと思ってしまう。でもそれって可能なのだろうか。弁護士の方によると、
私有地でも国有林でも勝手なキャンプはNGです。
私有地は言わば、人の家の庭で勝手にキャンプをするようなもの。では、国有林ならば問題無いのでは?と思ってしまう人もいるはず。少なくとも私は思った。
これは自然公園法の「特別保護区」「第一種特別地域」などの区分でNGになる場合とそうでない場合があるという。「特別保護区」はテント・焚火が禁止、「第一種特別地域」はテントの設置が禁止。
どうしても、キャンプ場以外でキャンプを楽しみたいというこだわりの強い人は、その場所を管轄する役所に問い合わせてみるのが確実だろう。くれぐれも、先にキャンプをしている人がいたから、管理している人がいなかったからなどの理由でキャンプしないように。
キャンプは素晴らしい趣味だ。一度体験すると「また行きたいなぁ」と思ってしまう魅力がある。だからこそ、ネットにはびこる不確かなルールを信じたばかりに体を壊してしまったり、人に迷惑を掛けてしまったりするのはバカらしい。本書を読んで、特に初心者~中級者のキャンパーたちがより安全に、快適にキャンプを楽しんでくれることを願う。もちろん上級者も復習を!
文=冴島友貴