ふたりの空気感が愛おしい! ニート青年&幼稚園児の甥っ子のほっこり戯れコメディ『シロとくじら』/マンガPOP横丁(108)

マンガ

公開日:2022/4/29

シロとくじら
シロとくじら』(tunral/KADOKAWA)

 早速だが、はりまが今回ご紹介する作品『シロとくじら』(tunral/KADOKAWA)についてみなさんにお伝えしたいのは、今いろいろと心が疲れてしまった人にぜひともおすすめしたい、心が安らぐ優しい物語ということだ。

年齢は離れているけどいつもそばに

 それは、寝ている子どもを抱いた姉が実家にやってきた瞬間から始まる――。

 目覚ましはかけず、寝ることに飽きたら起きてのんびりとその日を過ごすという怠惰な毎日を送っていた実家住まいのニート青年・シロ。そんな彼の生活に大きな変化が訪れる。近所に引っ越してきたシロの姉の息子で人見知りのくじらを、幼稚園の入園までの間にお守りすることになったのだ。寝ていたくじらが起きたので、シロはまず空腹かどうか尋ねる。くじらは自分のリュックに入っているお菓子を食べるというのでシロが食べさせていると、リュックの中にくじらが紙を筒状にして作った“剣”を見つける。その“剣”をシロが望遠鏡のようにのぞくと何かが描かれていることを発見。“剣”を開いてみると、そこにはくじらの独特な感性で描かれた絵が広がっていた。ただ、その絵をくじらはあまり見てほしくないようで……。だがこれをキッカケにふたりの心の距離が縮まり、一緒にコンビニへ行ったり、シロの部屋でくつろいだりする仲に! 年齢は離れているけど、いつもそばにいるふたりの日常は、今日もゆっくりと過ぎてゆく。

 いきなり始まるニートと園児の日常。最初こそぎこちないが、打ち解ける速度は驚異的で、2話目からはもう友人のような関係に! これはシロが人見知りのくじらの心を開けてくれたからだろう(シロはたぶん無意識!)。そんなふたりの関係が変わるターニングポイントが紙の“剣”のシーンなのである。くじらの心が開けてから毎日一緒にいると、不思議なものでまるで本当の家族のようになっていく。例えば、シロの言ったセリフを復唱したり、表情が偶然にも一致したり……この光景がめちゃくちゃ可愛い。こういった何気ないふたりの日常の姿を愛でて楽しむ作品なのだ。さらに物語が進み、くじらの幼稚園入園の回など、それぞれのエピソードにも注目だ。

 シロとくじらが見せるほっこり優しい物語にまったりと癒されませんか?

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう