スパイスカレーで経営難のライブハウスを再建!? スパイスのプロ・印度カリー子監修のレシピ付きコミック!【つくってみた】

マンガ

公開日:2022/4/27

ピリピリとビリビリ
ピリピリとビリビリ』(西倉新久:イラスト、印度カリー子:監修/文藝春秋)

 料理にそれなりに興味があれば、一度はやってみたいと憧れるスパイスから作るカレー作り。一度作るとその香りの良さとスパイシーさの虜になる人も多い反面、第一歩を踏み出すハードルはなかなかに高い。頻繁に使わないスパイスをいくつも買いそろえる必要があり、しかも最後まで使い切る自信もない。筆者もそうだった。

スパイスカレーのプロ監修! スパイスカレーのレシピ付きマンガが登場!

ピリピリとビリビリ』(西倉新久:イラスト、印度カリー子:監修/文藝春秋)は、スパイスカレー作りやスパイスの普段使いへのハードルを下げてくれる、レシピつきのマンガ作品。監修を務めている印度カリー子さんは、スパイス料理研究家で、自身で調合したスパイスセットの販売等も行なっている。ネットやTVなど多数のメディアに出演している、注目の人物だ。

 本作品の主人公は、ライブハウス「ろじっく」の店長代理・川萩美浪(かわはぎ みなみ)。昨今の社会情勢によりライブの開催もままならず、経営状況は悪化するばかり。このままではいけない、と思いながらも突破口が見つからず、苦肉の策として昔お店で好評だった「スパイスカレー」に挑戦することに。

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ピリピリとビリビリ

 だが、美浪は市販のカレールーを使っても失敗するほどの料理下手。そんな自分にスパイスカレーなんて――。

 そう思い悩んでいたその時、店にある女性がやってきた。ソロシンガー「キタマクラ」として活動しているというその女性は、スパイス沼にどっぷりはまったスパイスオタク。ライブの予約をするも自身がお金を持っていないことに気づき、ハコ代をまけてくれればスパイスカレーの作り方を伝授すると約束する。

ピリピリとビリビリ

 こうして、美浪のスパイスカレー修業が始まったのだった。

 作中では、ストーリーの中でカレーに必要なスパイスの種類や役割、扱い方、作り方などが分かりやすく解説されており、読み進めれば進めるほど、今までぼんやりしていたスパイスという存在が身近になっていく。が、そうなると気になってくるのが味の問題。そこで、いったいどんな仕上がりになるのか実際に作ってみることにした。

実際に「チキンカレー」を作ってみた!

 今回作るのは、第1話でキタマクラが最初に作った「チキンカレー」。スパイスは、何種類も使うのかと思いきやなんと「クミン」「ターメリック」「コリアンダー」の3種類のみ!

ピリピリとビリビリ

 まずは、スパイスカレーの素となる「グレイビー」作りから。

ピリピリとビリビリ

 フライパン(今回は鍋で代用)に油をひき、みじん切りにした玉ねぎを飴色になるまで炒めていく。続いてトマトを入れて水分が飛ぶまで再び炒め、クミン、ターメリック、コリアンダー、塩を加えて混ぜ合わせればグレイビーの完成だ。

 あとはここに一口サイズに切った鶏もも肉を入れて色が変わるまで炒め、ミルで粉砕したミックスナッツを加え、水と牛乳で煮込んでいく。

ピリピリとビリビリ

 時間は弱火で10分ほど。最後に塩で味を調えれば完成。牛乳が入っているためカレーシチューのような色合いだが、香りはしっかりスパイシー。おいしそう……っ!

ピリピリとビリビリ

 食べてみると、生姜やにんにく、スパイスの風味がしっかりと主張しつつ、牛乳とナッツのまろやかなコク、鶏肉のうまみがそれらをやさしく包み込んでいる。筆者は普段辛いカレーしか食べないのだが、このカレーはさほど辛くないのに不思議と物足りなさを感じなかった。スパイスを感じられるカレーというのは、やはり満足度が高い。ナッツによってとろみがあることも、満足度アップに貢献している。

 スパイスカレーは基本的に小麦粉を使わないため、ルーを使用したカレーよりも圧倒的にヘルシーに仕上がる。ダイエット中のカレーは我慢、と思っている人も、このカレーならば安心して食べられるのではなかろうか。調理時間も30分程度と、案外短時間でできるのも嬉しい。

『ピリピリとビリビリ』には、ほかにも「ラサム」や「パラクプロウン」など初めて聞く名前のカレーや副菜が各話に登場する。カレーってこんなに種類があったのか。美浪はキタマクラ指導のもと一歩ずつスパイスカレーの腕を上げ、「ろじっく」再建に向けて動いていく。時には予期せぬ事件も発生するが――。

ピリピリとビリビリ

「ろじっく」をはじめとしたライブハウスは、時代という逆境に立ち向かい生き残ることができるのか、また、今後どんなカレーが登場するのか、今後の展開にも注目したい。

調理、文=月乃雫