「どんな役でも挑戦していきたい」映画作品で準主役にも抜擢といま大注目のモデル/女優・石田夢実さんインタビュー

エンタメ

公開日:2022/5/18

 モデル、女優として活躍し、現在配信中のJRグループ「鉄道開業150年ステートメントムービー」でも話題を集めている石田夢実さん。幼少期から12年間続けてきたという新体操で鍛えた体幹と表現力から繰り出される佇まいは、観る者を引きつける魅力にあふれている。『ダ・ヴィンチ』編集ライター講座の撮影会にてモデルでご登場いただいた際には、次々とさまざまな表情&ポージングを披露してくれた。

 思わず目を奪われる、そんな彼女にデビューまでのいきさつや、女優としての道を歩みはじめた今の思いをたっぷりとうかがいました。

取材・文:倉田モトキ 撮影:山口宏之 ヘアメイク:間 隆行 スタイリング:清水なおみ

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ものすごい人見知りなのに、ファッションが大好きで目立ちたがり屋な子どもでした(笑)

——石田さんは中学3年生だった2014年にアミューズのオーディションを受け、ファイナリストに残られた経緯をお持ちです。やはり、小さい頃から芸能の仕事に興味をお持ちだったんでしょうか?

石田 実はオーディションを受けるまで、あまりこの世界のことを知らなかったんです。ただ、ファッションは昔から大好きで。それに、幼少期からものすごく人見知りだったこともあって、それを克服させようと思ったのか、両親のすすめでオーディションを受けることになったんです。ですから、最初はよく理解していなかったですし、“受かったらいいなぁ”ぐらいの気持ちでした(笑)。

——では、最終審査まで残ったことに驚きがあったのでは?

石田 びっくりしました!(笑) いっぽうで、オーディションの審査を重ねていくうちに、どんどんと楽しさを感じるようになっていきましたし、アミューズに所属する先輩方がモデルや女優として活躍されているのを見て、「自分もやりたい!」という思いも強くなっていったので、ファイナリストに選ばれた時は本当に嬉しかったですね。思えば、昔から流行りのものをいち早くファッションに取り入れたりと目立ちたがり屋なところがあったので、もしかすると、どこかで自分の殻を破るきっかけを潜在的に探していたのかもしれないです。

——人見知りだけど、目立ちたがり屋だったんですね(笑)。

石田 はい。やっかいな性格ですよね(笑)。

——とはいえ、オーディション後はすぐに上京はせず、地元に残って高校進学の道を選ばれていますね。

石田 出身は福岡なのですが、小学生の時からやっていた新体操で長崎の高校に特待生として推薦をいただいてまして。それに、当時はまだ中学3年生ということで、社会のことを何も分かっていませんでしたし、人間としても未熟だったので、そんな状態で上京しても成功しないんじゃないかと思ったんです。それで、3年間は高校でしっかりと学校生活を送りつつ、新体操に専念しようと決めました。

——やると決めたら、とことんまで追求するタイプなんですか?

石田 そうですね。決めたことに対して途中でやめられないんです。特に新体操は唯一、小さい頃からずっと続けてきたものなので、高校卒業までは絶対にやり遂げるぞ! という思いが強くて。……とか言いながら、同じ部活のみんなと何度も何度もどうやって逃げようかと相談していましたけどね(苦笑)。

——(笑)。それは練習がキツくて?

石田 はい(笑)。友達と逃げるための作戦をたくさん練るんですけど、結局は逃げ出せず。なかにはあまりの辛さに本当に辞めていってしまう人もいましたけど、私自身は新体操が大好きだったので、どれだけ大変でも楽しくやっていこうという気持ちをモットーにしていたんです。ですから、後輩ができた時も明るい先輩でいることを常に意識して、楽しくおちゃらけながらも、きっちりと成績を残すということを心がけていました。

——素敵です! まさに有言実行で、高校時代は国体やインターハイにも出場するなど結果を出されていますもんね。そして高校卒業と同時に、ついに上京。

石田 東京に来てからはレッスンやお仕事をしつつ事務所に所属しつつ、美容の専門学校に通っていました。資格を取りたかったのも理由の一つですが、モデルさんや女優さんの一番近い存在でいられるのがヘアメイクの仕事だと思ったからです。専門学校も楽しかったですね。その頃からモデルのお仕事をさせてもらっていたのですが、学校では基礎的なヘアメイクの技術を勉強しつつ、モデルの現場では応用的なテクニックを知ることが出来て。それを今度は学校の友達に教えたりと、みんなで情報交換をして、いろんな角度からモデルやメヘアイクのことを学ぶことができました。

——モデルの仕事の楽しさはどんなところですか?

石田 いろんなお洋服を着られるのはもちろんですが、自分が子どもの頃に雑誌を見て楽しんでいたように、最先端の流行やファッションを届ける仕事に携われていることにも喜びを感じます。それに、新体操をしていたからだと思うのですが、ポージングなど体を使って表現することも大好きで。最初の頃は恥ずかしさがあって、“どういうふうに動いたらいいんだろう……?”と戸惑うこともありましたが、慣れていくにつれて、自分がこれまで新体操で培ってきたことが活かされているなと感じられるようになったので、そういった瞬間はいつも嬉しさでいっぱいになりますね。

女優デビュー作の映画で準主役。準備期間、撮影現場のすべてが私にとっては宝物のような経験でした

——同じく“表現”する場として、最近はお芝居にも挑戦されていますね。

石田 はい! 入所した時からレッスンはときどき受けていたんです。でも、モデルのお仕事が楽しかったからというのと、それを理由にお芝居をすることから逃げていた時期がありまして……(苦笑)。

——えっ、どうして逃げていたんですか?

石田 なんとなく怖さを感じていたんです。きっと、例の人見知りの部分が出ていたんだと思います(笑)。レッスンを受けていても照れの気持ちのほうが勝ってしまって。でも、高校生の時に『花とアリス』という映画を見て蒼井優さんが大好きになり、その頃から女優の仕事にも憧れを持っていましたし、自分と同期の子たちがどんどんと映像のお仕事で活躍していくのを見て、“自分もここに行きたい!”と強く思うようになったんです。それで、“恥ずかしがってる場合じゃない!”と、しっかり女優を目指そうと決心しました。

——本格的に女優としての活動を始めたのはいつ頃になるのでしょう?

石田 ちょうど一年前になります。まだ情報解禁前になるのですが、映画のオーディションを受けて、準主役という大きな役をいただきました。

——それはすごい! 初めての映画の現場はいかがでしたか?

石田 監督から撮影前に「本当にきついぞ!」と言われていたのですが、女優として一歩目だった私にとっては何がどうきついのか、想像すらできなかったです(苦笑)。実際には、沖縄を舞台にした作品でしたので、まず沖縄の方言を身に付けなくてはいけませんでしたし、当然、演技もまだまだでしたので、やらなくちゃいけないことが多すぎて、ちょっとパニックになってました(笑)。しかも、監督から「誰にも頼らず、自分でどうすればいいか考えろ」と言われていたんです。

——なかなかハードな現場ですね(苦笑)。

石田 もう、試練の連続でした(笑)。ただ、撮影に入るまでに1ヵ月ほど時間をいただけたんです。その間にどうすればいいかを自分で考えなさいということでしたので、まずは現地の方にたくさん話しかけて、お友達になり、そうやってリアルな方言を学んでいって。また演技面に関しては、自分が何かの役を演じるというのではなく、1ヵ月かけて役そのものとして生きていくことを意識したんです。その気持ちのまま撮影に入っていけたので、自分では肩の力が抜けた自然な芝居ができたのではないかと思っています。

——なるほど。でも、共演者がいる以上、自分のペースだけで芝居はできませんし、難しさを感じることもあったのでは?

石田 それもありましたね。物語の展開としてどんどんと心が沈んでいくというものだったので、それに合わせてカメラが回っていない時でも共演者の方があまり私と会話をしてくださらなくて(苦笑)。最初は“どうして上手くコミュニケーションが取れないんだろう?”と不安になっていたのですが、それも役作りなんだと分かってからは、相手を想うもどかしさやためらいなどをそのまま役にも投影できたので、とてもいい経験をさせてもらえたなと感謝の気持ちでいっぱいです。

——また現在は、『金田一少年の事件簿』や6月21日放送の『星新一の不思議な不思議な短編ドラマ』などドラマの出演も続いてますね。

石田 ドラマの現場もすごく楽しいです。ただ、やはりまだまだ自分の力が足りなくて、レギュラーをいただけるまでにいたっていないので、悔しさもあります。とはいえ、仮に小さな役であっても、そのキャラクターがどういう理由でそこにいるのかを考えていくことは大切ですし、どの現場でも学ぶことがたくさんある。ですので、撮影前やあとに、マネージャーさんやレッスンの先生のお力を借りながら、たくさん勉強する時間を作るようにしています。

——最後に、今後の目標を教えてください!

石田 経験が少ないぶん、今はどんな役でも挑戦していきたいという思いでいっぱいです。また、最近はモデルの仕事でも、女優としての現場でも、少しずつですが“1”のことを“2”や“3”にしていく表現ができるようになってきた実感があるんですね。でも、まだまだ“0”から“1”を生み出すことがすごく苦手で。それはきっと、私に想像力が足りないことが原因の一つでもあると思うので、たくさんいろんな映画を観たり、苦手な読書をして、与えられた役をより深く掘り下げる作業もしていけたらなと思っています。そして今の目標としては……25歳になるまでに蒼井優さんと共演がしたいです。25歳になるまで、あと3年。頑張っていきますので、応援よろしくお願い致します!

▼プロフィール
石田夢実 Yumemi Ishida
2000年生まれ。福岡県出身。「アミューズオーディションフェス2014」のファイナリストを経て、アミューズに所属。2020年にUNIQLOワールドワイドモデルに抜擢されたほか、雑誌「25ans(ヴァンサンカン)」、「JR Beauty Hokuriku」、「武庫川女子大学イメージモデル」、 化粧品ブランド「Sophistance」、韓国スキンケアブランド「makepreme」、「SABON」のモデルとして活躍。主な出演作に24時間テレビスペシャルドラマ「生徒が人生をやり直せる学校」、「金田一少年の事件簿」など。6月21日放送の「星新一の不思議な不思議な短編ドラマ」に出演。