「このアイデアはいけると思います」根拠に欠ける伝え方ではビジネスの現場で通用しない!?/いまさら聞けない「数字の読み方」超基本

ビジネス

更新日:2022/7/21

 ロジカルで説得力のある話し方のできる人は仕事もできる! 仕事ができる人に共通しているのは、「数字力」。筋道立てて考えることが苦手…という方は、まずは数字の読み方を身につけて、説得力・伝える力・問題解決力をみがいてみませんか。

 久保憂希也著の書籍『数字が苦手な人のためのいまさら聞けない「数字の読み方」超基本』は、これまであまり数字を意識せずに仕事をしてきたという人に、データに騙されず、賢く数字を使う方法を伝授します。

 本書で身近な問題やクイズを解きながら、ビジネスにも役立つ数字の読み方、数字を使った考え方をマスターしていきましょう。

 そもそも「数字に強い」ということは何を意味しているのでしょうか。いまビジネスの現場で求められている能力とは?

※本作品は、久保憂希也著の書籍『数字が苦手な人のためのいまさら聞けない「数字の読み方」超基本』から一部抜粋・編集しました

数字が苦手な人のためのいまさら聞けない「数字の読み方」超基本
『数字が苦手な人のためのいまさら聞けない「数字の読み方」超基本』(久保憂希也/アスコム)

はじめに――仕事に必要なたった1つの能力

「あの人は数字に強い」という言い方をすることが、よくあります。

 国税調査官から東証一部上場企業の経営企画部門(財務担当)に転身し、コンサルタントを経て経営者になった私は、これらの肩書だけで「数字に強そうですね」と言われたりします。

 しかし、考えてみれば、「数字に強い」とはよくわからない表現です。簿記を知っているとか、計算が速いとかであればわかりますが、〝数字に強い〟とはいったい何を意味しているのでしょうか?

 本書では数字に強いことを「数字力」という言葉で表現しています。じつはこの「数字力」こそ、いま切実にビジネスの現場で求められている能力なのです。

 では、数字力とは何なのか。

 数字力とは、数字を使って意思決定への筋道を立てる力のことです。

 これは、どんな仕事をするうえでも最も本質的で重要な能力です。

 現代のビジネスパーソンの9割にとっては、専門的な会計の知識は必要ありませんし、ぱぱっと暗算できたり正確な計算ができたりといった能力も必要ありません。エクセルや電卓が一瞬でできることを、時間をかけて身につけても意味がありません。

 仕事においてつねに要求されるなんらかの意思決定に対して、数字を自らの判断材料にしたり、他人に根拠や可能性を示したりできることが重要なのです。

 

 たとえば、何か新しいビジネスのアイデアがひらめいたとします。「ぜひ、このアイデアを実現したい」と思ったときに必要になるのは、そのアイデアがなぜ「いける」のか、自分にとって目に見える形で確認することです。さらに、そのうえで客観性のある材料によって、意思決定権者や利害関係者を説得するプロセスが必要になってきます。

「私はこのアイデアはいけると思います」と言っても、誰も納得しません。そんなとき、市場規模や成功する根拠について説得力のある数字を見つけ出し、簡潔に説明できれば、そのアイデアはテンポよく形を取って成果につながっていきます。

 

 商品やサービスが少なく、市場規模自体が右肩上がりだった時代は、意思決定にそれほど気を使わなくても済みました。とにかく速く行動していけば、売上を伸ばすことができました。

 しかし、商品もサービスも飽和状態で、消費者の価値観やニーズが多様化・複雑化している現代においては、何をどう決めるかがとても重要になってきます。

 現代においては、狙いが少しずれただけで、まったくといっていいほど売れない商品が簡単にできてしまいます。ビジネス上、精度の高い意思決定をテンポよくできる人材が、どの業界、どの職種でもますます必要になってきているのです。

 

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