夢に向かい、努力し成長していく姿が愛おしい『メダリスト』/斉藤朱夏のしゅか漫画⑤
公開日:2022/5/21
夢はありますか? 今、無我夢中になっていることはありますか?
でも、夢を作るのも、無我夢中になるのも意外と難しかったりするし、
夢があるのが偉いとも思わない、夢がなくてもいいとも思う。
今回紹介する『メダリスト』(つるまいかだ/講談社)という作品は、
心が動かされて自分も何か頑張ろうとか、目標ができるキッカケになるかもしれない。
フィギュアスケート強豪国、日本。
冷たい氷の上で出会った二人が、誰よりも熱くオリンピックを目指すお話。
この本を手にした瞬間、時間を忘れて世界観に引き込まれていた。
挫折を味わったコーチと自分に自信がないひとりの少女、
どちらも自分に重ねながら読んだ。
夢を追い続けると目の前に立ちはだかる壁は分厚く、壊しても壊しても現れる。
努力をしても実らない日もたくさんある。
こんなに努力をしているのに何故?
自分には才能がないんだ、もう辞めてしまおうかなんて思ってしまう日ももちろんある。
それと同時に夢ができた幼い時の自分を思い出すと、
ここで諦めてはいけないともうひと頑張りしてみる。
新しいことができるとビックリするぐらい楽しくてワクワクする。
自分はあと何ができるんだ?と自分にドキドキする。
それを味わってしまうと、もう辞められない。
自信がなかった少女、結束いのり。
彼女が努力している姿があまりにも美しくて、話数が進むにつれ一瞬も見逃せなかった。
成長する姿ってどうしてこんなにも愛おしいのか。
いのりちゃんはまだ小学6年生。
幼いながらも夢に向かって走り続ける彼女に
まだまだ自分も挑戦し続けなければいけないと
背中を押された気分になった。
作中で特に印象的だったのは、「言葉」。
いのりちゃんは幼いからこそ発せる言葉があって、
きっとそのなかには大人になったら言えない言葉もあって
その言葉ほど実際大切な気がする。
言葉に対して敏感な自分は、
ハッとさせられることが多かった。
また、『メダリスト』は一つの夢に向かって突き進む物語でもあるけど、
思わずふふっと笑ってしまう瞬間も描かれていて
そのコミカルさめちゃくちゃ好きや!! と感じることが多かった。
夢へと突き進むハートは無限大で、読めば読むほど自分もと前のめりになっていた。
才能だけで頂点にいく人もいるかもしれないけど、
努力することを最終的に決めるのは自分自身の気持ちだと思う。
いのりちゃんの夢への物語は
まだスタート地点。
今後どうなっていくのか楽しみで仕方ない。
夢を探してるあなた。
少し落ち込んでいるあなた。
自分を奮い立たせたいあなたにぴったりな一冊。