ロバート・デ・ニーロ「誰かに否定されても、それが自分のせいだと思わない」/天才たちの習慣100

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公開日:2022/5/23

 世に名を馳せた天才たちによる、「毎日実践していた習慣」や「日々思い描いていた人生哲学」、「経験から生まれたマイルール」などなど…。その「効果」「効能」を、『すぐに真似できる 天才たちの習慣100』(教育総研/KADOKAWA)からご紹介します!

ニューヨーク大学の卒業式における彼独特のスピーチ

 2015年5月、ハリウッド俳優も数多く輩出しているニューヨーク大学芸術学部の卒業式で、ある俳優がスピーチを行ないました。

 その俳優とは、ロバート・デ・ニーロです。

『レイジング・ブル』でアカデミー賞主演男優賞を獲得し、『ゴッドファーザーPART Ⅱ』のヴィトー・コルレオーネ、『タクシー・ドライバー』のトラヴィス、『アンタッチャブル』のアル・カポネなど、大役から脇役まで、そして、超大作からB級娯楽作品まで、あらゆる映画に出演して存在感を発揮する怪優です。

 彼は、盟友でもある映画監督マーティン・スコセッシの他、オリバー・ストーンやレディー・ガガなどを輩出した同学部の卒業式でスピーチした際、このように述べています。

「拒絶されると辛いだろう。しかし、私の実感では、拒絶というものは自分の実力の問題ではないことが大半なんだ」

 彼は、「あなた方がオーディションを受けたり、役の売り込みをしている時、プロデューサーや監督といった相手側が何か別の人を思い描いているかもしれない」とも語っています。

 つまり、オーディションを受ける側である「あなた」と、プロデューサーや監督側が「思い描いている人」がそもそも別人である場合が多い、だから、それを「自分のせい」だと思い込むのは誤りだ、と彼は述べているわけです。

 このことについてデ・ニーロは、「そういうものなんだよ」といって、聴衆を和ませています。

 確かに映画の場合、超大物の俳優・女優ならいざ知らず、オーディションを一から受けるような名もなき俳優・女優の場合、そもそも脚本が彼・彼女の風貌や雰囲気に合わせて成り立っているわけではありません。

 逆に、プロデューサーや監督は、脚本になるべく沿っていて、しかも魅力的な俳優・女優と出会うためにオーディションを行なっているわけです。

 したがって、オーディションを受ける側の人たちが、オーディションに落ちたからといって落ち込むのは、ある意味では間違った捉え方をしているとデ・ニーロはいいたいのだと思います。

 ですから、彼はこの言葉に続いて、このように語りかけるのです。

「あの役を得られなかったって? ここで出番だ。次! 君は、次の役か、その次の役を得ることができるだろう」

 ロバート・デ・ニーロは、「Next!」といって、皆を励ましています。

役に恵まれなかった下積み時代

 いまでこそ、名優の名をほしいままにしているロバート・デ・ニーロですが、彼も73年のマーティン・スコセッシ監督『ミーン・ストリート』に出演して注目を浴びるまでは、苦労の下積み時代を送っていました。

 端役でもいいから得るためにオーディションを数多く受けるものの、不採用の通知を受けることもしばしば。彼がニューヨーク大学芸術学部で卒業生たちを前に語った言葉は、自身の経験から出た彼の本心だったのでしょう。

 また、彼は「実社会では二度とオールAなんて取れない」とアートのエリートたちに向けてハッパをかけ、しかし「誰かと一緒に仕事をする時は、すべてをよくしようと頑張れ」と優しく語りかけます。

 ロバート・デ・ニーロといえば、「役作り」においては手を抜かないことで知られています。

『レイジング・ブル』では実在のプロボクサーを演じるためにジムに通いつめて肉体を鍛え上げ、『アンタッチャブル』の役柄であるアル・カポネに自らの風貌を似せるために顔だけ太らせ、頭髪の生え際を剃り上げることまでしています。

 日本の俳優・三國連太郎も「怪優」と称えられましたが、役作りに関しては彼も負けてはいませんでした。1957年の映画『異母兄妹』において、撮影時33歳だった三國連太郎は老人を演じるために前歯10本を抜いたと伝えられています。

 そして、抜歯後に彼は一言こういいました。

「いい顔になったなぁ」

俳優の、「演じる」ということへの努力の一端が分かる言葉です。

【プラスα】相手を「承認」し、よりよいコミュニケーションを生む
 ロバート・デ・ニーロは、オーディションにおける「受ける側」の心構えを述べていましたが、逆に、「伝える側」はどんな心構えでいればよいのか? コミュニケーションを上手く図る1つの方法として、相手にきちんと事実を伝えた上で行なう方法があります。

 何となく相手に伝えるのではなく、「◯◯が出来ているからいいね」とか「◯◯してくれるから助かるよ」というように、具体的に相手に伝える。こうすることによって、相手は「承認されたんだ」と感じ、お互いのコミュニケーションが上手くいくようになるのです。

天才たちの習慣

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