ベストセラー『神メンタル』に続く最強のコミュニケーション術『神トーーク』
公開日:2022/5/26
ロングセラーや話題の1冊の「読みどころ」は? ダ・ヴィンチWeb編集部がセレクトした『神トーーク 「伝え方しだい」で人生は思い通り』(星 渉/KADOKAWA)をご紹介します。
この本を読んでほしいのはこんな人!
・自分には人望がないと思っている人
・部下や子どもが言うことを聞いてくれない人
・周囲と一緒に成し遂げたいことがある人
3つのポイント
要点1
科学的根拠に基づいたコミュニケーション法で、人の心を思いのままに動かすことができる。
要点2
部下や子どもに言ったことをやってほしいときは、相手に安心感と自己重要感を与える伝え方が重要だ。
要点3
相手を否定せず、自分で気付かせるコミュニケーションで部下は育ち、自分も周囲の人に恵まれる。
▼プロフィール
星 渉(ほし わたる)
株式会社Rising Star代表取締役。1983年仙台市生まれ。大手損害保険会社で勤務するが、岩手県で東日本大震災時に被災。時間が有限であると実感し「自分の人生の時間はすべて好きなことに費やす」と決意、2011年に起業。「好きな時に、好きな場所で、好きなシゴトをする個人を創る」をコンセプトに、ビジネスコンサルタント、作家として活動。講演会、勉強会には10,000人以上が参加し、手がけたビジネスプロデュース事例や育成した起業家は623件にのぼる。ゼロの状態から起業する経営者の月収を6カ月以内に最低100万円以上に至らせる成功率は91.3%。著書に『神メンタル』『99.9%は幸せの素人』『神トーーク』(ともにKADOKAWA)など。
「振る舞い」「安心感」「自己重要感」を知れば人の心は動かせる
自分の思い通りにいかない相手がいるからこそ、コミュニケーションは難しい。しかし、どんな相手の心も動かすことができる、科学的根拠に基づく「伝え方」がある。実践すれば自然とまわりが味方をしてくれるようになり、人間関係や人生が好転するのだ。
人の心を動かすための原則は「この人の話を聞きたい」と思われる日常の振る舞いと、「安心感」と「自己重要感」だ。まずはその第一歩として、信頼に値する人物になろう。「相手の話を最後まで聞く」「約束を守る」など、話を聞きたくなる人物像をイメージして、日頃の行いを見直してほしい。
「安心感」と「自己重要感」は、人間の感情と欲求に関わっている。人は理屈で正しいと思っても感情が伴わないと行動に移せない。そして「こういう感情を満たしたい」と願うがゆえに、その感情を得られる人のところへ集まる。つまり、ポジティブな感情を満たせる人になれば、影響力を得られるのだ。
では、人間のどのような欲求に注目すればよいのだろうか。アメリカの心理学者・マズローが掲げた「欲求五段階説」の「生理的欲求」「安全の欲求」「所属と愛の欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」のうち、外からの働きかけで満たせるのは「心の安全」と「所属と愛の欲求」、「承認欲求」だ。つまり、この人といれば傷付かないという「安心感」と、自分は価値のある人間だという「自己重要感」を満たせば、人の心は動かせるのだ。
相手の言うことを絶対に否定してはいけない理由
安心感を与える上で大切なのは、相手が言ったことを絶対に否定しないこと。受け止めてもらった上で言われたことは、聞き入れやすいからだ。アドバイスを素直に実行してもらいたければ、相手の話を遮らずに最後まで聞き、内容にかかわらずそれを受け止めよう。また、私たちの感情は目に見るものに大きく左右されるため、笑顔で話を聞くことも大切だ。腕を組んだり足を組んだりするのはNG。相手の話に興味を持っていると態度で示そう。
人の心を動かす方法で即効性が高いのが、相手を好きになることだ。人には、何かをしてもらったら返したくなる「返報性の法則」という心理がある。好きと伝えることで相手にも好かれて、影響力を持てるのだ。ストレートに伝えるのが難しければ、「チームのみんなが好き」など集団への気持ちを伝える、相手の持ち物を好きと言う、などの方法がおすすめだ。
相手を名前で呼ぶ、会う人の出身地や誕生日、趣味などの情報を知っておき話題に出すことも、相手の自己重要感を高めるテクニックだ。また、人の心を動かしたければ、人の悪口は言うべきではない。相手は、自分の悪口も言われているかもしれないと思い、心を開かなくなるため注意しよう。
自分で気づかせるコミュニケーションが自ら動く人を育てる
部下や子どもに自ら動いてほしいときも、安心感と自己重要感を意識しよう。助言をするときは、褒める→アドバイス→褒めるというサンドイッチ方式が良い。指示をするのではなく、自分自身で気付き決めさせるコミュニケーションも大切だ。人は、命令されたことより、自分で決めたことのほうが行動に移したくなるからだ。
「やり方を教えてほしい」と相手にアドバイスを求めれば、頼られているという自己重要感にもつながる。成長を実感した相手はあなたと一緒に仕事をするのが楽しくなり、より人望が厚くなるという好循環が生まれる。
最高のリーダーは、理解が遅い部下に対しても、相手が自分で気付くまで、答えを言ったり否定したりせずに、質問を繰り返せる。「否定をしない」+「気付かせる」+「答えを言わない」+「正さない」をセットで覚えよう。長い目で見れば見方を増やすことになるため、忍耐強く実践してほしい。
人の心を動かす伝え方で相手の人生も変えられる
自分の伝え方次第で、相手の人生も変えられる。相手がひとりでいるときも自ら動ける人物になれるよう、命令せずに、自分で気付かせることを意識しよう。相手が迷っているときにかける言葉も重要だ。目の前のことに追われて苦しんでいる人には、「今、どこを目指しているのか」と問い、やる理由に目を向けさせよう。小さなゴールを設定して達成のたびに褒める、ロールモデルを近くに置く、仕事ではなく役割を与えるなどの方法も有効だ。些細なことでも褒め続けて、「自分はやればできる」という自己効力感や、自信とやる気を芽生えさせよう。
人の心を動かす上での基本ルールは、ゴールイメージを先に抱くことと、「私はあなたの味方である」とはっきり伝えることだ。相手になってほしい姿を先にイメージすることで、どの方法を使っていくべきか道筋を決められる。味方だという意思表示は、相手の安心感と幸福感を生む、最上の方法だ。心を動かす力は、単に人を思いのまま動かす方法ではない。まわりの人と一緒にあなたが幸せに生きるための力として、ぜひ身につけてほしい。
文=川辺美希