少子高齢化による、年金の「財源」問題。将来、高齢者を支えきれるのか?/私の老後 私の年金

暮らし

更新日:2022/7/21

少子高齢化社会だけれど、高齢者を支えきれる?

 公的年金制度は原則20~60歳の現役世代が支払う保険料で、65歳以上を支えるしくみになっています。現役世代が高齢者に仕送りをするイメージです。少子高齢化が進むなか、年金制度を維持できるのか不安を感じている人もいるでしょう。

 とはいえ、この状態は永遠には続きません。団塊の世代が高齢期に入り65歳以上の人口は上昇しましたが、2041年以降は減少に向かって横ばいになると見込まれています。

 年金を説明するときによく使われているのが、現役世代が高齢者を支える図です。神輿型から騎馬戦型、そして肩車型とどんどん負担が重くなっているというイメージで不安になりますが、これもちょっと違います。支える人が就労者で、支えられる人が被就労者になると、図は変わります。ずっと肩車の状態で支えてきているわけです。

 少子化で人口が減っているのに、なぜそうなるのかというと、保険料を支払っていなかった専業主婦(第3号被保険者)が減って女性の就労が多くなり、65歳以上の高齢者の就労も増えたから。今後もこれが続くので、すぐに負担増というのは考えにくいのです。

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年金の運用は大丈夫? 年金の財源は足りるの?

 年金の給付総額は55.7兆円。じつは、保険料と国庫からの負担を合わせても、2.7兆円の赤字になっています。このマイナス分は積立金を取り崩していきます。だからといって「そのうち底をついてしまうのでは?」と焦らなくても大丈夫。使う一方で、増やしてもいるからです。

 積立金は、GPIF(年金積立管理運用独立行政法人)が運用しています。かつて運用がうまくいっていないとニュースになったせいか、運用状況は悪いままだと思い込んでいる人もいるようですが、そんなことはありません。実際は年平均2~3%で運用されています。

 2021年第3四半期の運用成績は3.79%のプラスになり、累積で約108兆円の黒字が出ています。したがって、赤字は十分に補える状態なのです。

 さらに、年金保険料の大半を運用につぎ込んでいるわけでもありません。運用に回されるのは財源の1割ほどです。

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<第3回に続く>

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