読み手の心をフッと軽くする「パヤ毛のどんぐり」のほっこりフォトエッセイ
公開日:2022/6/5
フワフワっとした“パヤ毛”を身にまとって窓際で“哀愁たっぷり”に、しとしと降る雨を眺める表情や愛くるしい表情で一躍人気猫となった、どんぐりの日常を切り取ったフォトエッセイ『パヤ毛のどんぐり』(どんぐりママ/KADOKAWA)。1歳になったばかりで、まだ子猫の仕草が残るまんまるの目のどんぐりが、猫好きだけにとどまらず、「癒される」「ほっこりする」と“やられる”人が後を絶たない。
まさに“100ページ100様”の表情&仕草が豊かなどんぐり
やっぱりこれだけかわいいと、ついついシャッターを押してしまう気持ちは分かるけど、それにしてもこれほどまでにいい表情が切り取れる理由は…「はじめに」のプロフィールを見て、納得。どんぐりの「好きなもの」…猫用カニカマ、納豆(これもこれですごい)などの、猫にとっては関心ごとの第1位であろう「食」を差し置いて、飼い主である著者の「ママ」さんが第一なのだ。そんなどんぐりと、どんぐりを愛するママさんの“相思相愛”の2人(1人1猫)の関係だからこその一瞬。それが集められた、まさに真骨頂的な1歳のメモリアルなわけである。
とはいえ、フォトエッセイだけあって、「かわいさのヒミツ」「子猫のための部屋づくり」「おしゃれのキホン」「目指せ、美ボディ」「子猫のお仕事」「おいしいものいろいろ」「ママとの暮らし」「のんびり&まったり」「オトナの時間」と、それぞれのテーマに合わせた写真とママさんの愛情たっぷりのひと言が並ぶ。
“かわいくない”を“かわいい”に変えるどんぐりのタレント性
「かわいさのヒミツ」は生まれつきのかわいさに甘んじることなく、日々“美活”を怠らないどんぐり。自分の“美活”だけでなく、ママさんの美も心配して、冷蔵庫の前でママさんの深夜のつまみ食いを見張るどんぐりの表情が何とも言えない…。
そして、「子猫のための部屋づくり」には、写真1枚で28万いいね! を記録した、もはや“伝説的”なあの1枚も。明るさの関係で昼間の猫は黒目が細くなり、通常は“かわいくない”表情になるのだが、昼間の黒目の細い状態でこのかわいさを出せるあたり、どんぐりのタレント性を感じずにはいられない。
どんぐりの“獣” 的表情に、思わずクスッ…
「のんびり&まったり」では、案の定、ほっこりさせられてしまうのだが、「子猫のお仕事」や「オトナの時間」の中には、おそらくどんぐりにとっては“掲載NG”を出したかったであろう、“獣”的な一瞬が見られるのも、読み手としてはクスッとしてしまう。そんなバランスの良さが猫好き以外の心も捉えるのであろう。「はじめに」で、どんぐりママさんが「日常の隙間にのんびりと眺めていただけたら」とつづっているように、心が重たくなるたびに、ついつい手に取ってしまいそうだ。
さらに、コラムと、すごろく&あみだくじなどのミニ企画がそれぞれ4つずつ掲載されている。特に「はじめまして、どんぐり」のコラムでは、安心し切ったどんぐりとママさんの愛情に、「好きなものは納豆です」のコラムではどんぐりの成長ぶりに、こちらまで優しい顔になってしまうこと請け合いだ。
生後2カ月の頃から1歳の頃までのどんぐりの表情とママさんの優しい言葉を集めた1冊は、こちらも「はじめに」でママさんがつづっているが、本棚の隅っこに置いておいて、何かあったときにふと開いてしまうような、そんな優しさあふれる“メモリアルアルバム”になっている。
【著者プロフィール】
どんぐりママ
生後2カ月で家にやって来たときから短い毛でフワフワとした“パヤ毛”がトレードマークのマンチカン・どんぐりの飼い主。Twitterでどんぐりの成長ぶりを紹介している。ママを愛してやまないキュート&癒しの姿を日々フォロワーに届けている。