美波わかな「自分の強みを見つけられるよう頑張りたい。負けず嫌いなのが私の原動力」【声優図鑑】
公開日:2022/6/13
キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチWebの恒例企画『声優図鑑』。第288回に登場するのは、『8 beat Story♪』の姫咲杏梨役や『温泉むすめ』の玉川百合亜役などを演じる美波わかなさんです。
地元の山口県で声優に憧れてから、少しでも声優の道に近づくために、がむしゃらな学生生活を送っていたとか。「負けず嫌いが私の原動力かも」とこれまでの活動を振り返りつつ、飼い犬に癒されている休日の様子や、お気に入りの漫画についても話してくれました!
声のお仕事をしたくて、とにかくがむしゃらでした
——高校卒業後に声優の専門学校に進んだそうですが、声優に憧れたきっかけは?
美波:中学生の頃、放課後に友だち同士でパソコンを観てたんですけど、ちょうど初音ミクが流行り始めた頃で、動画やアニメーションに惹かれて二次元の世界にのめり込みました。その頃、テレビで声優さんの映像を観て声優という存在を知って、意識するようになりましたね。
——それから自分も声優になりたいと。
美波:そうですね。猪突猛進タイプなので、すぐに専門学校に入って上京したかったんですけど、家族から「まずは福岡に出ていろいろ経験したら?」と言われ、高校に進んで、アルバイトをしながら声優のお仕事について学んでいました。その頃は、とにかく声のお仕事をしたくて、がむしゃらでした。
“負けず嫌い”が私の原動力
——いろんなアニメ作品に出演されていますね。
美波:本当にすべてが勉強の時間でした。周りのみなさんより経験が少ない自覚があったので、台本に他の演者さんが言われていることまで書いて、家でもう一度練習して…の繰り返し。演技はまだまだですけど、なぜか赤ちゃんの役だけは何度か褒められたことがあります(笑)。
——赤ちゃん役のコツがあるんですか!?
美波:お腹がすいているとか、おむつが気持ち悪いとか、どうして泣いているのかを自分の中で考えて、名前もないキャラクターですけど、この子はこれからどんなふうに育つのかな?って考えながら演じています。オーディションや現場でいただける資料だけではなく、過去も未来もあるキャラクターが今もがいていることを演じるのが、ひとりの人間の人生を演じることなのかなと思うので。
——普段お仕事でできないことがあって悔しいと感じることはありますか?
美波:ありますね。声優も自分がやりたくてやっていることだし、やっぱり同期の子がすごい演技をしていたりすると悔しいな、私ももっと努力しないとな、と思います。負けず嫌いなことが私の原動力になっているような気がします。
ライブ前日に眠れたことがありません
——2016年からは『8 beat Story♪』から誕生したアイドルユニット・8/pLanet!!のメンバーに。歌のお仕事もずいぶん板についてきたのではないでしょうか。
美波:今でもライブ前は緊張で足が震えますし、ライブの前日は夜眠れたことがないですが…ステージに上がったら楽しんでいます! 前日は、がんばって寝ようとするんですけど、翌日のことが気になってしまって。起き上がってもう一度動画を観て、振り付けの見せ方とかをギリギリまで悩んだりします。そういう細かいこだわりに気づいて感想のお手紙をくださるファンの方もいて嬉しいなと思います。
——8/pLanet!!では3月に1stアルバムがリリースされましたが、どんな仕上がりですか?
美波:私たちも待ちに待った1stアルバム。メンバーの入れ替えはありましたけどキャラクター自身は変わっていないので、前任の方たちの想いと私たちの想いを込めて、8人で活動できる喜びが詰まっています。新しい3年生曲は、今までの明るいイメージとはまた違った、これまでの葛藤や感謝の気持ちが描かれた楽曲なので、キャラクターの気持ちを重ねて聞いていただけたら嬉しいです。
——そして『温泉むすめ』で演じる玉川百合亜役は、圧倒的声量を持ち、電子機器が苦手という特徴を持つキャラクターですが、ご自身と重なるところは…?
美波:いつも楽しそうだし、穏やかでニコニコしていて、歌も歌い上げるような気持ちでいることが多いので、そういうところは通ずるところかなと思います。私も電子機器は苦手なので、気持ちがよくわかります(笑)。
——どんな電子機器が苦手なんですか!?
美波:スマホもそうですし、パソコンはもう、打つことさえままならず…。最新のアップルウォッチを持っているんですけど、まだ使い方がわからなくて。それなのに、iPadに手を出したいと思っているんですけど(笑)。
——使いこなせることを願っております(笑)。iPadで何をしたいんですか?
美波:お姉ちゃんが色塗りできるようなソフトを持っていて、試したら面白くて。写真の上にメッセージを書くこともできるので、ライブの後にファンの方に手書きのメッセージを送れたらいいなと。お仕事でも台本をいつでもチェックできたりして便利なので、苦手なのに手を出そうとしています(笑)。
休日はお姉ちゃんと電話したり、犬に話しかけたり
——お休みの日はどんなふうに過ごしていますか?
美波:お姉ちゃんとテレビ電話してますね。といっても、仕事から帰宅してお風呂に入るくらいまで、ほぼ毎日電話してるんですけど。お互いの好きなアニメコンテンツがあるので「今日は推しが出たよ」みたいな話をして。それが2歳上のお姉ちゃん。もうひとり、10歳上のお姉ちゃんはおしゃれな人なので、衣装の組み合わせを相談したりします。
——元気がない時の解消方法を教えてください。
美波:家にいると同じことばっかりグルグル考えちゃうので、飼い犬と一緒に散歩したりします。犬が眠たそうだったら添い寝して話しかけたりとか。「聞いてよ〜」って話しかけると、薄目をあけて見てきます(笑)。カニンヘンダックスの男の子で、風太くんっていうんですけど。
——いつから飼っているんですか?
美波:飼い始めて3歳半になりました。もともと実家で飼っていて、その子に会うために頻繁に帰ってたんですけど、それなら自分で飼ったほうがいいのでは、と思って。ポケモンのアニメでイーブイを演じたことも大きいですね。
漫画は主従関係のある作品が好きかも!?
——ダ・ヴィンチWebのユーザーに向けて、本や漫画のおすすめを教えていただけますか?
美波:『黒執事』の漫画が好きで、自分でお小遣いを貯めて全巻を揃えた思い出深い作品です。『妖狐×僕SS』も、もう亡くなられてしまったんですけど、作者の藤原ここあ先生の描く絵がすごく好きで。その2つを上京する時に持ってきました。
——『黒執事』はいつ頃読んでいたんですか?
美波:高校生の時に書店で宣伝されていて、ゴシック系の表紙やセバスチャンがすごくかっこ良くて「なんだろう、このイケメン表紙は!」と(笑)。最初はビジュアルに惹かれましたけど、読み進めるごとにセバスチャンとシエルの関係性の面白さも伝わってきて。それこそ、アニメでは坂本真綾さんがシエル役を演じるのを観て、女性でも男の子役を演じられるんだなって刺激を受けました。
——お気に入りのキャラクターは?
美波:葬儀屋(アンダーテイカー) が一番好きです。まだ過去が明らかになっていないところもミステリアスで。
——ご自身でもミステリアスな役を演じてみたいですか?
美波:演じてみたいですね! 悪役を演じてみたいなとずっと思っていて。もちろんヒロインにも憧れますけど、悪役は主人公をステップアップさせるような立場が興味深いなと思っていて。
——『妖狐×僕SS』を読んだのはいつ頃?
美波:高校生の頃、声優を目指すために何をしたらいいのか分からなかった時期に、大量の漫画を読み漁りまして。絵がきれいだし、凜々蝶と双熾の関係性も好きで…そう考えると、主従関係のある作品が好きなのかもしれません! 妖怪モノも好きで、『ぬらりひょんの孫』とか、ズブズブとのめり込みました。
——妖怪モノというと和風のイメージがありますね。
美波:純和風の妖怪も好きですし、最近読んでいる『地獄くらやみ花もなき』みたいに和洋折衷な感じも好きですね。いつか四国に行ってみたいなってずっと思ってるんです。妖怪にまつわる土地が多くあるみたいで。ひとりで行くと気圧されそうなので、一緒に行ける友だちを探して行きたいです(笑)。
自分の強みを見つけて演技を磨きたい
——これからどんな声優になっていきたいですか?
美波:毎日の積み重ねだと思いますが演技をどんどん磨いていって、どれだけ努力しても極めるのが難しい分野だと思うので、自分の強みを見つけていきたい。ピカチュウを演じている大谷育江さんや、林原めぐみさんのように。まだまだ模索中ですけど、自分の強みを見つけて磨いていきたいです。
——美波さんに注目しているファンの方にメッセージをお願いします。
美波:まだまだ未熟者ですけれど、声のお仕事に限らず、舞台や歌など、これからいろんなことに挑戦していきたいです。もし惹かれるものがあれば、ついてきてほしいです!
——美波さん、ありがとうございました!
次回の「声優図鑑」をお楽しみに!
美波わかな
◆撮影協力
撮影=高木成和、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト」