人は、存在するだけで価値がある。支えがなくても誰かの支えになれる/あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる
更新日:2022/7/20
力のある人の意見に流されてしまったり、些細なことで落ち込んでしまう…。自分の“弱さ”が嫌になることは、誰にでもあると思います。
そんな方におすすめしたいのが、今回ご紹介する『あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる』。ホスピス医として3,800人以上と向き合ってきた小澤竹俊さんが、自身の経験から得た“本当の強さ”を手に入れるためのヒントを紹介します。
競争や忙しい日常からでは気づけないあなただけの強さとは――。
『あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる』は、”自分の人生に立ち向かう力”を掴むきっかけとなる一冊です。
自分を支えてくれるような存在がいないことに絶望してた患者さん。しかし、あることに気がつくと、前向きになったといいます。
※本作品は小澤竹俊著の書籍『あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる』から一部抜粋・編集しました
あなたに支えがいなかったとしても、あなたは誰かの支えになれる
これまで私が出会った方の中には、重い病気を抱え、一時は「自分には、支えてくれた存在などいない」と絶望や孤独を感じたものの、自分自身が誰かの支えになることで幸せを感じ、前向きに生きる力を得た人もいます。
現在、私が講師を務める「エンドオブライフ・ケア援助者養成講座」を受講してくださっているMさんは、40代のときに乳がんと診断され、片方の乳房を全摘することになりました。
独身だったMさんは大変なショックを受け、不安や後悔に襲われました。
乳房が片方しかなくても、自分を愛してくれる人はいるのだろうか。
年齢を考えても、化学療法などの後遺症を考えても、出産は無理だろうか。
そして、「生きなければ」と思えるような、支えになるようなパートナーや子どもがいない寂しさ、辛さを痛感し、大きな苦しみと絶望を抱えていました。
そんなある日、Mさんは検査のために病院を訪れ、待ち時間の間に、本棚に置いてあった私の本を手にしました。
たまたま開いたページに、
「あなたに支えがいなかったとしても、あなたは誰かの支えになれる」
と書いてあり、Mさんは「そうか、私が誰かの支えになればいいのか」と気づき、がんを宣告されて初めて、人目をはばからずに泣いたそうです。