隠された無限: 往復書簡終末の彼方に
隠された無限: 往復書簡終末の彼方に / 感想・レビュー
イタロー
キリスト者・小川と非信仰者・埴谷による「終末」についての往復書簡。生命・体験・科学・宗教・哲学・文学、あらゆるテーマを入れ込んで展開される黙示的議論である。前半の緊張感あふれる思弁的な議論と、後半の両者がおのおの繰り広げる広大な宇宙論のコントラストに、胸が熱くなる。全体に通底しているのは、小川の神と埴谷ののっぺらぼうを巡る思索に共通する「未知との遭遇」「何ものかへの探求」と、直観と読書に裏打ちされた求心力、そして全ての原動力である激しい魂の渇望。見どころは埴谷の宇宙論、存在の革命のヴィジョン、小川の寓話。
2024/06/06
アレカヤシ
(ひとりの人間が他の人間の「事実」を知ることは、絶対不可能だという恐ろしい事実)7 (人間は駱駝に自分の声を聞き勝ちになるのです・・・〈ヒューマン〉な声を聞いてしまうのです。そこにも勿論駱駝ならではの響きはあるでしょう。しかしいつも自己中心的な人間は自分になぞらえた〈駱駝言語〉しか聞かないのです)112 全存在は一つの宇宙、同じ源から湧きだしたもののように思えるのに、他者のことが分からないのは何故なのか。この1ヶ月、一頭の水牛の〈源言語〉を聞き取ろうと苦心してるけど、とても叶わないことを思いながら読んだ。
2018/09/17
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