醜い花
醜い花 / 感想・レビュー
(C17H26O4)
誰からも忌み嫌われている一輪の花。自らも存在を否定し絶望の底で何百年と咲き続ける。或る夜、声がする。「誰も彼もがおまえを好きになれば満足か」「自分よりも美しいものたちに囲まれていることは、不幸であるか? 好かれまいが、好きになることができるおまえは、不幸であるか?」存在の意味を静かに問われる物語。濃く甘く、ねっとりと纏わりつく匂いの漂ってきそうな醜い花のイラストと、美しい装丁の対比がこの物語をより印象深くする。喜びに包まれて萎れていった「醜い花」は幸福だったのか、いつまでも考えさせられる。英文と共に読む。
2018/05/15
浦
再読。英語と日本語で描かれた絵本なので、今回は英語を中心に読んでみた。いつまでも生きる醜い花の気持ちに胸が締めつけられる。現代に合うラストも素晴らしい。
2016/11/27
Miki
原田さん、きっと振り絞って、命を削ってこの本を書いたんじゃないのかな。図書館から借りて読んだけれど、装丁やイラストも美しく、ストーリーも好きで、手元に置いておきたい本。英語訳があるのも良い。
2013/12/26
茶器
『好きなものがひとつ増えるのは、幸福がひとつ増えるのと同じことです。』英訳と挿絵付きの美しい絵本。装丁がとても丁寧に凝っていて良い。9頁の深海、もしくは古代植物(藻類)地味た「花」のイラストも好きだけれども、17頁のみっしり描かれた細密画の巨大な一輪から見える人体の複合体のような曲線がグロテスクでぞくりとする。
2016/05/05
さびすこ
学生時代に図書室で一度読んでからどうしても忘れられず、朧げな記憶で探して購入したのが4年前だったようです。以来、ふと思い出す度に読み返しています。何度読んでも、なんだかもやもやとした、せつない気持ちになります。いろいろと考えさせられる本です。
2020/04/14
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