小僧の神様 他十篇 (ワイド版岩波文庫 310)
小僧の神様 他十篇 (ワイド版岩波文庫 310) / 感想・レビュー
さくら咲く
新聞のお勧めコーナーで見かけて図書本を。ノスタルジーを感じる短編集。箸休めと言ったら失礼だが読後感良し。作家さんも当時はのんびりゆったり筆をとっていたのだろうか。
2022/10/06
みけのすずね
「小僧の神様」善意が後味のわるいものだなんて、仕様がないもんだ。人間なんて、神様になりきれるものじゃないってわかる。「清兵衛と瓢箪」瓢箪がこわされ取り上げられるまではいいけれど、絵まで破られたらこの子は一体どうなるかなあ。「流行感冒」主人公のように疑り深いと、欠点ばかりが目について、なかなか相手といいところ(娘を愛する気持ち)を共有できないのだね。
2015/10/17
ゆきなり
志賀直哉の作品は何度か読み返したものもあるけれど、やっぱり『城の崎にて』『小僧の神様』が一番好きだなと思う。『流行感冒』もいいなと思うけど、私は志賀本人が登場しない作品の方が素直に読める。『城の崎にて』は志賀の私小説だけど、主人公はもはや志賀の個を離れていると思う。小さな生き物の死に臨む主人公は志賀個人の性格や状況を離れたふわっとした存在にされて、ほとんど小生物の死を見つめる目としてだけ存在している。それが志賀の「見たままに書く」筆致とがっちり噛み合う。書こうと思ってもこうは書けない、と唸らされてしまう。
2019/05/01
青
志賀直哉の作品が読みやすいというのもあるけれど、ワイド版ということで形態的にも読みやすい。意識して読んだことがなくてもどこかで目にしているような代表作が多く、少し懐かしい。どの話もすんなりと読んでいける。
2013/08/07
千本通り
最近何度か城崎温泉に足を運んだのと「流行感冒」の作品が今のコロナ禍に被っているので読んでみた。正直、思ったほどの出来でなく拍子抜けした。志賀を「小説の神様」と呼ばしめた「小僧の神様」も小僧にごちそうした人物の自己満足でしかなく、「赤西蠣太」は中途半端な終わり方で志賀でなければ編集者から突っ返されそうだ。「流行感冒」も主人夫婦と女中の話で、女中なんかいない今では感情移入しにくい。期待外れ。
2023/03/23
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