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漫画映画(アニメーション)の志: 『やぶにらみの暴君』と『王と鳥』

漫画映画(アニメーション)の志: 『やぶにらみの暴君』と『王と鳥』

漫画映画(アニメーション)の志: 『やぶにらみの暴君』と『王と鳥』

作家
高畑勲
出版社
岩波書店
発売日
2007-05-30
ISBN
9784000220378
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漫画映画(アニメーション)の志: 『やぶにらみの暴君』と『王と鳥』 / 感想・レビュー

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bura

積読本。ジブリの高畑勲氏が若き日に大きな影響を受けたフランスのアニメ映画「やぶにらみの暴君」は作者グリモーの承認がないまま、プロデューサー権限で公開された。27年後、グリモーは「王と鳥」というタイトルで『新たな映画』に作り直す。その様々な経緯や製作者たちの人生を綴り、高畑氏の「やぶにらみの暴君」に対する思いを纏めたもの。一言でいえば表題の「漫画映画の志」の通り、最初に惚れた映画の悲しい経緯を延々と語っていく一冊。「やぶにらみの暴君」が自分は大好きだった、とはっきり言わない所が高畑氏らしかった。

2020/05/24

しゅん

『やぶにらみの暴君』(1953)と『王と鳥』(1979)の二作は非常に複雑な関係を持っており、高畑勲がその経緯を当時の批評を多く引用しながら紐解いていく。作品世界の垂直構造や隠喩関係、あるいは作者であるグリモーやプレヴェールの人生に触れながら、現実に作用を及ぼしていく「アニメーション」への志を語る。高畑本人のイメージも相まってか、柔らかいですます調がやたら強い。隠喩の手法と解釈に否定的な立場だったけど、この論を読むと隠喩の必然性に説得されてしまう。フランス文化への理解の深さをやはり感じる。

2023/08/31

yakisoba

「やぶにらみの暴君」は、高畑・宮崎作品の中で、あらゆる演出シーンが引用されてて、「コナン」「カリオストロ」「ナウシカ」「ラピュタ」「風立ちぬ」でもオマージュ的な扱いを受けているんだけど、それを28年振りにセルフリメイクした「王と鳥」という作品が、逆に面白くなくなっているのは何故か?というのを1冊使って説明している本。たった一本の映画だけで、ここまで執拗に研究しようとする高畑勲の狂気がとても良く分かる本だった。

2014/02/20

カメコロ

一本(正しくは二本と言うべきか)のアニメ映画についてここまで深めたのはちょっと他にないと思う。当時、そして現在のフランスの批評家たちの反応から、高畑勲自身の論考、隠喩、詩的美しさ、縦の構造……。「生はさくらんぼ 死はたね 恋はさくらの木」。その終わりが新しい始まり足り得るのは、生命も漫画映画も同じなのだろう。

2014/02/23

ハンギ

高畑勲が、「やぶにらみの暴君」とその後に同じ監督と脚本家で作った、「王と鳥」の比較を試みたりする。よくここまでやったなあと思えるくらい深かった。このアニメはフランスで作られた作品であり、コンテではなく、一枚のストーリーボードをつなげるやり方で作られたらしい。監督のグリモーは絵がかなりうまいので、それだけでも良い世界観を出していると思いました。半世紀の時を経て、「王と鳥」を再び作るのは大変だっただろう。メインスタッフも年を取っていたと思うし。高畑さんたちが「やぶにらみの暴君」の肩を持つのも仕方が無い。

2015/11/08

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