差異の政治学
差異の政治学 / 感想・レビュー
katoyann
各種の雑誌や編著者となった本に執筆した論文を編集して単行本化したもの。ジェンダーはもはや男女という二項の性別ではなく、差異の実践を指し示す学術用語であるとしている。デルフィやスコットに依拠しながら、女性の問題を中心に扱ってきたフェミニズムがジェンダーに切り替わっていく歴史的な過程と背景を分析している。これも学術性の高い論稿であるため、難易度は高いが、日本のウーマンリブが左派知識人の女性蔑視を暴き、女性固有の権利を求めてきた歴史や差別の複合性に関する最近の研究知見に関して網羅的に学ぶことができる。
2023/08/27
amanon
自明と思われていた、男女の社会的役割、家庭での立ち位置など…しかし、歴史を紐解いてみると、それが意外と歴史が浅かったり、根拠に乏しいものだったりするが、同時に手強い社会通念でもあり、覆すのが意外に困難という状況。そして、そこには国家の意図がかなり強く反映されているから、余計に厄介。本書でも度々言及されているが、フェミニズムは女性を男性並みにする思想という誤解。その誤解のために損なったものの大きさを思うと、残念でならない。その主張全部を受容することはできなくても、それを知ることで、新たな視点が開けるのに…
2020/12/01
SQT
めっちゃ良かった。
2016/12/30
くも
「今日あらゆる分野で、ジェンダーだけで対象を分析することはできないが、同時にジェンダー抜きで分析することもできなくなった」
2020/01/20
ひるお
ジェンダー、セクシュアリティ、リブ、女性史など、ジェンダー研究やフェミニズム研究に取り組む上で知っておくべき基礎的事項の研究史をまとめた一冊。ジュディス・バトラー『ジェンダー・トラブル』を読む前の基礎づくりとして読んだ。もちろん一度読んだだけで全てを把握できるわけではないが、基礎の基礎は確実に作れる。ジェンダーとは性のありよう(形態、様態、項)ではなく、性をそれぞれの集団に分割する線、差異化そのものなのだという記述には目から鱗が落ちた(だからこそBLは「ジェンダーの娯楽化」なのだ)。
2019/09/12
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