邪悪なる小説集
邪悪なる小説集 / 感想・レビュー
メタボン
☆☆☆☆ 小林恭二らしい想像力から生み出された虚構短編集。「虚妄」は虚構と現実の境自体を論じた哲学的な作品。歌舞伎役者水木市之助が役者としての稀有な存在を目指した「再臨」が秀逸。殺人欲に囚われた男とのシュールな密室劇「救済」。自分のちょっと先のことがわかる彼女「予言」は小林らしいひねくれたラブストーリー。死体が次々と流れてくる川「流れる」。
2021/11/01
猫丸
1996年初版本。天下の岩波書店である。デビュー直後の浮ついた雰囲気は改善されている。「ゼウスガーデン衰亡史」の成功で余裕ができたのだろう。小林恭二の世界が確立されつつある。しかし読書メーター内の登録数を見るとちゃんと食えているのか心配になるなあ。確かにちょっと主知主義に過ぎる作風かもしれない。八編を含む本書でも21世紀現在でも売れそうなのは「救済」だけかな。根本的に短編には向いていない可能性もある。
2019/10/03
warimachi
あいかわらず普通に壊れているなあ。
2015/04/15
かりかり
☆☆☆流れる 再臨 人沼家
2016/04/29
ばるさん
短編八編。想像以上に楽しめた。殺人衝動を押さえられなくなった男、付き合った女性が次々と自殺していく男、川の上から大量に流れてくる死体、などなど。不条理な設定から、どこまでも論理的に語りを進めていく手法は本格ミステリと称していいだろう。法月綸太郎や小林泰三を彷彿とさせる。といってももっと大御所なわけですが。一人語りで理屈っぽいのが好きな人にはお薦め。
2015/04/18
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