長編マンガの先駆者たち――田河水泡から手塚治虫まで
長編マンガの先駆者たち――田河水泡から手塚治虫まで / 感想・レビュー
akihiko810/アカウント移行中
戦後間もないころの「長編漫画」の解説と、その当時の著者の漫画体験をまとめたもの。印象度B 「のらくろ」から手塚治虫まで。手塚の「新宝島」がこれまでの手塚作品とは段違いのスピードであったこと、それは共同制作者の構成の酒井七馬の功績であったという。 本書一番の項は、藤子不二雄の「UTOPIA 最後の世界大戦」(足塚不二雄名義)の解説だろう。この世界観を高卒後すぐ(多分十代で)描いたのはすごい早熟だとしかいえない。オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』という元ネタがあったとはいえ。
2022/09/02
印度 洋一郎
日本におけるアメコミの第一人者である著者が、約四十年前に「奇想天外」誌上に連載していたコラムを元に、戦前から終戦直後にかけての「日本の長編漫画の系譜」を、リアルタイムの読者(少年時代)の視点も交えて辿っている。戦前の作品にしては革命的スピーディな展開を見せる「スピード太郎」、SFガジェット盛り沢山の「新バグダッドの盗賊」等々今も読める作品もあれば、数少ない戦時中の漫画「ナマリン王国物語」や名作のらくろの異色作「珍品のらくろ草」等幅広い。柔らかい語り口、豊富な知識など、アメコミに関する諸作同様の楽しい文体だ
2017/07/23
じょっちゅん
著者が1980年代に『奇想天外』誌上に連載した「奇想天外コミックスの系譜」をベースとした一冊。 リアルタイムで戦前から戦後まもない頃に出版されたマンガに触れていた著者のマンガ体験史が書かれている。豊富な図版もさる事ながら、当時の感想を活き活きとした筆致で綴っており、当時のマンガへの愛が強く伝わる。 引用した場面に対する印象を綴っている点や、作品に対して映画や小説を踏まえながら論考している点は、マンガ史を考える上で新たな示唆を読者に与えてくれるものだと感じられる。
2017/07/06
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