文壇アイドル論
文壇アイドル論 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
80年代~90年代に文壇(並びに論壇)を一世風靡した作家(論客)たちを俎上に乗せて、彼ら彼女らがいかにその時代に迎えられたのかといった同時代評を手掛かりに、バッタバッタと切っていった本。ある意味では痛快である。また、論者(斎藤美奈子)の冴えも感じさせる。まず、やり玉に挙がったのが村上春樹。返す刀で寸断されるのが俵万智。いずれも、ごもっともと言えばごもっとも。あの上野千鶴子もフェミニズムをダシにした「成功者」「転向者」「商売人」「オヤジ転がし」「ジジイ殺し」のイメージともう散々。おお怖!
2020/06/08
メタボン
☆★ 「他人のふんどしで相撲を取る」批評家のいやらしい部分が鼻に突いた。そこには作家に対する敬意のようなものも感じられないし、鋭い読みもない。ただ他人の労作のエッセンスを掬い取ってきて「見て見て、私こんなことにも気づけるのよ」とあざとくひけらかすだけだ。こんな感想になってしまったのも、この書の論調が憑依したのかもしれない。
2016/03/17
スノーマン
吉本ばななと林真理子に関するものが面白かった。流行った時代の背景や、新たな文壇アイドルにうろたえるおじさんたちの評論をエイエイと斬っているのが楽しいな。ただ、田中康夫には全く興味がなく飛ばしてしまった(笑)すみません。
2014/06/06
くみこ
再読でも面白い。たまたま同じ名字の村上春樹と村上龍、両村上比較論が後を絶たないものの、村上龍は田中康夫と比べられても良かった、などは忘れてました。「林真理子スゴロク」のアガリは、この本が書かれた時点では結婚でした。世間に叩かれ続けた林真理子さんは、今や日本文藝家協会理事長だと思うと、感慨深いものがあります。「日本の同時代小説」も読んでみようと思います。
2020/06/22
阿部義彦
文藝評論家の斎藤美奈子さんの出世作、過去に文庫で読んだような気もしたがどうせ忘れてるのでしょうから、ブックオフで親本の岩波書店からの単行本があったので、新たに読みました。今から20年前に出たのか。80年から90年にかけて、一時代を画した著名人8人の作家論です。両村上からばなな、林真理子、俵万智、立花隆、上野千鶴子、田中康夫を解説してます。色んな方の発言の引用もありますが、今は亡き小田嶋隆さんが、極めて真っ当な感想を述べてます。村上龍のおっちょこちょいぶりには私も苦笑して同意です。流石に読ませます。
2022/12/10
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