物語のものがたり
物語のものがたり / 感想・レビュー
アン
梨木さんによる児童文学関連の書評や解説を中心としたエッセイ集。第一部は『秘密の花園』ノート。メアリの性格と感情の流れ、神秘的な庭と光の使徒との出会い、生きることの目覚めなどを掘り下げて考察する著者の眼差しは真摯であたたかく、作品への愛情に溢れ、再読した時の感動が蘇るようです。第二部は『借り暮らしのアリエッティ』『赤毛のアン』モンゴメリと翻訳家村岡花子、ビアトリクス・ポターらに焦点をあて、個性豊かな登場人物や物語の奥深さなどを綴られています。巻末の物語をめぐる鼎談も興味深く、児童文学の魅力が広がる一冊です。
2021/08/12
KAZOO
梨木さんが今まで読んできた童話や少女小説に関するエッセイというか読書ノートのような気がしました。半分を占めるのが「秘密の花園ノート」でこれほどまでにこの童話の背景などを詳しく分析する読み方もあるのだなあと感心してしまいこの本を読みたくなりました。あとの半分は「物語の場所」ということで赤毛のアンや様々な童話などについてのエッセイで別役さんとの対談も楽しいものでした。
2021/11/05
みかん🍊
秘密の花園は読んだ気になってたけどちゃんと読んでなかった、アリエッティは映画見た、赤毛のアンシーリーズは全部読んだ、英米児童文学についての書評とエッセイ、物語を読むだけでなく作者の背景や地方の実態、時代から読み解いていく、大人になって読むとまた感想も変わるのだろうと思う、アリエッティでは遠くない将来滅亡に至だろう人類を示唆しているという梨木さんの書評には慄いた、多分人類は予感しているのかもしれない。
2021/07/01
けんとまん1007
タイトルだけ知っていて読んでいない本も、タイトルすら知らない本も。そういう解釈なのか・・・と思ったり、そうそうと思ったり、読んでみようと思ったり。本は、だからいいのだと思う。解釈はそれぞれあっていいし、違う視点から光が当たると、新鮮さもでてくる。それはそれとして文中にでてくる「梨木さんの文体は翻訳調・・・・」というのが、ナルホドと思った。
2021/05/18
Ikutan
『秘密の花園』ノートでは、色んな視点で読み解くことができるこの物語の魅力が語られる。時代背景や人物描写、メタファー。子供の頃に読んだ物語が、こんなに奥深かったのかと。他にも『借りぐらしのアリエッティ』『木かげの家の小人たち』『リンバロストの乙女』などの物語が取り上げられ、読みたい欲がムクムク湧いてきますね。物語を紡ぐ側のモンゴメリ、ビアトリクス·ポター、石井桃子さんにも言及されています。気配を感じる感受性の鈍化やファンタジー筋肉を養うという物語の力。後半の″物語をめぐっての座談会″も興味深かった。
2021/05/04
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