有害コミック撲滅!――アメリカを変えた50年代「悪書」狩り
有害コミック撲滅!――アメリカを変えた50年代「悪書」狩り / 感想・レビュー
Bo-he-mian
アメリカに「コミックス・コード」という自主表現規制があるのは知っていたが、ハリウッドにかつてあった悪名高い「ヘイズコード」など比較にならない厳しいものだという事は初めて知った。暴力や性表現は元より「権威者たちに対する軽蔑を生み出すような表現はNG」要するに国家権力や有力者を批判したりおちょくってはダメ、というのにはひっくり返ってしまった。お前らはプーチンや習近平か! と言いたくなる。キリスト教保守主義社会は、ほとんど独裁国家としか思えないヒステリーを生み出す。禁酒法、赤狩り、そしてコミックは焚書に・・・。
2022/11/16
すけきよ
50年代のアメリカでは「悪書」としてコミックスが告発される事態が起きていた。そもそもは、精神科医ワーサムなどが「コミックスが少年犯罪を引き起こしている」という、日本でもここ20年、耳にたこができる言い回しがきっかけ。恐ろしいのは、コミックの作り手側がまるで空気を読めておらず、どうせマンガ嫌いが騒いで終わりだろ、と高をくくっていたら、いつの間にか「コッミクス=悪」という風潮になっていたこと。これって、日本の我々(マンガ好き)にも言えることで、気づいたら、漫画規制が通っていた、という事態になっていそうな恐怖。
2012/06/03
Nekono
「悪書」コミック有害論はいつでも青少年のための健全育成を謳って行われる。時に公的に、時にマスメディアによって、そして、多くは尻馬に乗る市民感情によって行われる。この本ではザ・スピリッツをはじめ初期のアメコミの歴史(マッドの誕生を含む)栄光と没落を読むことができる。後書きの中では、日本でも今から60年ほど前に実際に有害漫画(手塚さん含む)の焚書が行われたことに触れられている。今の世の中を見るとこうした動きは他人事ではないし過去のことでもない。幾度も繰り返される愚行としか言いようがない。温故知新。
2015/06/29
midnightbluesky
戦後の民主化でありとあらゆる大衆文化が花開いた日本なのに対し、終始自由を謳歌するアメリカは、時として驚くべき極端な統制を行うことが多い。禁酒法しかり、赤狩りしかり。焚書まではあったとは。
2012/10/14
matsumoto@読書中
「有害コミック撲滅!」読了。コミックスが少年非行をもたらしている―という誤謬をなんら検証することなく(反対意見は無視し)、アメリカ全土で次々と禁止し、また焚書していく過程はまさに魔女狩り。60年前とはいえ、こんなことが実際にあったとは! 数百人ものライター、アーティストが、コミックスを生業にしているというだけでまるで犯罪者あつかいされ、職を失ったのだから、恐ろしい。丹念な取材に裏づけられた労作。
2012/06/24
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