読む力・聴く力
読む力・聴く力 / 感想・レビュー
モリー
タイトルの「読む力・聞く力」の前に《何を》の部分が抜けている。私たちの多くは、《何を》の部分が書かれていなくともそれが《言葉を》であることを暗黙の了解として読み進めるのではないだろうか。そして、その言葉は文字化されていることを当然のこととし、その言葉がつくる世界の中で思考を巡らせてしまいがちです。三人の対談は、そういう枠の中にいる私たちに枠を超えた場所から枠の中の世界を見る視点も与えてくれたように思います。
2023/07/11
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
河合隼雄さんと立花隆さんの講演の後、谷川俊太郎さんの詩が何編か挟まれた後、3人の鼎談という形で「読む」こと「聴く」ことについての講演会の模様を書き起こした一冊。同じ聴くでも、河合さんのカウンセラーとして聴く聴き方と、立花さんのジャーナリストとしてのインタビューの聴き方、谷川さん詩人は世界を日常を読み、聴いている。印象的だったのは、立花さんの講演パートで、聴く=わかる、ということ。聴覚で聞いて側頭葉に入り、最後に頭頂葉で色々な感覚器官から脳に入った情報が統合されてわかるということが起こるという部分。
2015/10/29
ネジ
★★★★☆ 読むこと・聴くことに対する臨床心理士、ジャーナリスト、詩人という三者の考え方と対談。立花氏は新しい情報、考え方を知る事で、見えなかった世界が見えることによる感動が読書の原動力とした。私は三者の中で立花氏の姿勢に酷似していた。 ①河合氏は臨床心理士として、患者の言葉ではなく言外の情報を聴くことに集中している。 ②立花氏は1冊の本を書くのに100の本を読むことを目安とした。 ③当時はネット黎明期であった。著者らはネットの即時性に希望を持ちつつも、思想が時間をかけずに発信される危険性を懸念していた。
2023/12/24
純子
カウンセリングで人の話を聴く河合隼雄さんと研究者から話を聴く立花隆さんとでは、聴き方が全然違う。河合さんは相づちを打つ程度で聴き、けれど勝負師のように気を張って聴くのだそうだ。立花さんは相手にどんどん質問をぶつけながら相手の話を引き出すように聴く。同じ聴くという活動でも様々なんだなと興味深く読んだ。耳だけでなくこころも同時に傾けて相手の声を聴くような、穏やかで豊かなひとになりたいと思う。
2016/11/11
スズコ(梵我一如、一なる生命)
シンポジウムでのお三方の話を文章に起こした一冊。凄いサクサクと読めた。面白かったのは、ある1つのテーマに沿って科学的に突き詰める方の立花隆さんと、心理学というもっと神秘的な大きなものを捉えようとする河合さんの物事に対する捉え方、反応の違い。最終的には同じ意見にたどり着くのだけれど、パッと出たお題に対しては、それぞれ異なった反応を示している。きっと、それぞれ経験的に想定するアプローチが具体的なテーマに対するものか、そうでないのかの違いからなのだろう。
2017/09/25
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