臨床家 河合隼雄
臨床家 河合隼雄 / 感想・レビュー
Gotoran
タイトルが示すように臨床家河合先生を多彩なジャンルの方々が、様々な視点から語っている。各々の方々の河合先生への思いを汲取ることができる。事例発表での河合先生のコメント、河合先生から教育分析を受けた方々の追想、河合先生を分析したシュピーゲルマン博士へのインタビュー等々、盛り沢山。臨床家としての河合先生の厳しさと反面、オフ時の茶目っ気や無邪気な一面をも垣間見ることができた。次は、姉妹本の『思想家河合隼雄』を読んでみたい。
2018/07/17
ぐうぐう
臨床家としての河合隼雄の実像を、具体的な事例研究を紹介しながら語っていく『臨床家 河合隼雄』。「臨床とは?」と訊かれ、「何もしないこと」と答えていた河合のその言葉が、まるで偽りなしであることが、本書を読むと実感できる。一番強烈な言葉は、セラピストを演劇に例えた、この表現だ。「治癒者は、たいてい監督や主役か相手役のどれかになっていることが多いんやけど、真のセラピストは、観客、もっと言えば、舞台に徹することなんや」。(つづく)
2014/06/22
暗頭明
6/23の河合先生の今年の誕生日を機に読み始めたもの(再読)。牧康夫からの川戸氏宛の手紙を自分のポケットにしまったというエピソードが初読の時から忘れがたい印象を残すものの、他にも改めて感じたのは厳しい河合隼雄像である。一般書を通じて知る河合先生は好々爺のような姿で現れるが、本書では、心理学を学ぶ人たちに対する姿勢が峻厳であったことが紹介されていて(もちろんそれだけであったはずはないだろうが)、一読者に過ぎない私自身ですら身が引き締まる思いがするのだった。
2016/12/22
ポカホンタス
河合隼雄の本は昔よく読んだ。この本で久しぶりに河合隼雄と再会したような感覚になった。症例へのコメントが、やはりすごい。氏から教育分析を受けた人のコメントも興味深かった。いつも半眼で黙って聴いていて、あまりなにも言ってもらえず、世間話のような話で終わったりすることが多いが、ここぞというタイミングは絶対に外さない、とか。泣き虫でクライエントの話をしていて涙ぐむことが多いとか。一時はチベットで修行僧になろうとしていたことがあったとか。持論の、全力を挙げて何もしないという教えとか。人間河合隼雄が伝わってくる。ただ
2009/10/05
green
河合隼雄の臨床家としての追悼の本。河合隼雄関連で始めて読んだ。ユング派、夢分析、箱庭療法、など知らないことばかりでしたが、わかりやすい内容で、河合隼雄という人をおおまかにとらえられた。3年5年10年と、その人と向き合っていく臨床家、大変な仕事だと思います。
2018/08/15
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