レオナルド・ダ・ヴィンチ 絵画の書
レオナルド・ダ・ヴィンチ 絵画の書 / 感想・レビュー
roughfractus02
絵画では輪郭より影が重要だ。なぜならこの世界に線などというものはないのだから。今見える些細な動きも見逃さないように観察する著者は、言語で固定された観念とイメージで絵画空間を糊塗することを避け、世界を動きの軌跡である渦巻きや螺旋として描いた。さらに著者は光学と力学を通して見えるものと見るものの関係を動きから捉え、遠いものを小さくぼやけて見せる空気遠近法を実践し、輪郭にぼかしを入れるスフマート技法を発明する。弟子に語りかけるような言葉で書かれた8章944の断章からなる本書は唯一まとまった著者の書物とされる。
2024/10/12
感想・レビューをもっと見る