笑いの力
笑いの力 / 感想・レビュー
きみたけ
2004年に行われた「絵本・児童文学研究センター」主催セミナー「笑い」をもとに加筆された一冊。臨床心理学者の河合隼雄氏、医学博士の養老孟司氏、作家の筒井康隆氏の三氏による個々のお話と、女優で落語家の三林京子氏(桂すずめ)をゲストに加え、人間の生き方や社会の仕組みを相対化しそのあり方を再発見させる「笑い」の効用についてシンポジウムを展開してます。正直思っていたのとちょっと違ってましたがそれなりに良い本でした。三林京子さんの「生きているだけで丸儲け」、養老さんの「最後に笑うものが最もよく笑う」が良かったです。
2022/01/15
コウメ
糖尿病の人に「大学の講義」と「漫才」をみて食後の血糖値を測ると漫才の方はあまり上がらない。笑いは自然の大笑いや微笑みだけでなく作り笑いや思い出し笑いでも効果がある。/赤ちゃんは3ヶ月たった時にだんだん人間としての体勢ができてきて自分と外がわかってきた時に外に対して微笑みが生まれる。その微笑を見てお母さんは「よしよし」となる。つまり赤ちゃんは母性を引き出す力をもっている。赤ちゃんの微笑みを見てこちらも「よしよし」や「おお」となる。それで関係ができるつまり関係ができていくという根本に微笑みがある。
2021/10/20
マエダ
論理的に構築された世界の綻びみたいなものを感じるとわれわれは笑います。知的な笑いの表現。
2023/10/30
寛生
【図書館】河合先生が赤ちゃんが三ヶ月くらいになると、誰にも教わらないのに微笑みだすー「ニコッと笑うようになり」、その笑いの力が他者である〈母〉の「母性を引き出す力になっている」と観察されているのが印象的。〈私〉と〈他者〉との関係性が出来るときに〈微笑み〉があるという河合先生は永年〈他者〉の声に出来ない〈痛み〉〈苦しみ〉〈トラウマ〉を声にしてきたのだと思いを馳せる。それから、〈笑うこと〉はいえば〈反権力〉となりよりよい社会をつくっていける要素になのだと思わさせられた。笑うと血糖値もあがらないらしい。
2014/01/10
roughfractus02
子ども、脳、大人の3つの観点から笑いを語る3者の共通点は、虚構と現実の交流が笑いを引き起こすこと、論理性や真面目さがジョークや皮肉を生み出すこと、悲劇と喜劇は紙一重である文化の上で笑いは効力を存分に発揮することの3点である。劇場や教会が中心にある西洋古来の都市は現実生活の中に虚構空間を置いて唯一神を笑う文化を作ったが、現実に特化された現代都市は両者のバランスが歪んでいる。文化の要素から息抜きへ格下げされた笑いだが、意識重視のIT社会でも、脳は体を包む無意識とつながり、大人は子どものように笑うことはできる。
2023/03/06
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