昭和三十年代 演習
昭和三十年代 演習 / 感想・レビュー
鉄之助
昭和30年代に出現したブームを、興味深く分析。「空前絶後の切手収集ブーム」は、南極観測船「宗谷」を「見学に来た」アデリーペンギンをモデルにした記念切手の発行(昭和32年)がきっかけだった、とは驚き。現代につながる、ロッテ・クールミントガムのイラストにペンギンが使用されているのは、「南極のペンギンを好ましい生き物として認識し、集団の記憶として定着した」結果だ、となんと味わい深いことか。
2021/03/14
まーくん
昭和三十年代とはどんな時代だったか?岩波編集部の若手社員に行った解説をベースにしている(らしい)。ほぼ同世代の者として、懐かしくも、その多角的かつ詳細な読み解きに恐れ入り、改めてそんな背景があったのかと驚く。松本清張の謀略史観、清張を嫌った三島由紀夫の世界観。南極観測船「宗谷」の奮闘、堀江青年の密出国・太平洋横断。革新、進歩派、実態を知らない社会主義国の理想化。”勤労少女スター”吉永小百合等々。そうであったと頷くばかり。そして東京オリンピック。快晴の秋空に鳴り響いた、あの行進曲が今も頭の中に蘇る。
2020/07/12
HH2020
◎ 昭和三十年代が特別よかったと言うつもりはないが、今の時代より好きだったなぁとは思う。著者は「貧乏くさくて、可憐で、恨みがましい、複雑でおもしろい時代」だったという。この時代に起きた出来事や文芸や演芸、世相などを通じてその意義を再検証したものである。堀江謙一の太平洋横断やサユリストや東京オリンピックなどなど、なつかしい話題にしばし浸った。本の構成としては少しわかりにくい。いきなり「第1講」ではなく前書きが欲しかった。書名の「演習」も何の意味やら。
2020/07/31
はすみ
久々の関川節を堪能した。 昭和三十年代とは両親の青春の頃だが、亡母が親しんだのは吉永小百合や石原裕次郎ではなく、美空ひばりと市川雷蔵だった。
2021/06/17
前田浩史
昭和30年生まれの僕が、幼い頃に感じていた周りの「空気」の乾いた明るさのようなものの、その背景が分かったような気がしました。そして、時代をこのように解釈することの意味と面白さも知りました。
2014/09/05
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