遠野物語 遭遇と鎮魂
遠野物語 遭遇と鎮魂 / 感想・レビュー
ハチアカデミー
明治三陸大津波後の物語を論じた「Ⅲ 鎮魂の物語 第九九話を読む」に「遠野物語」と現代を繋ぐ論考が収められる。津波で亡くなった妻が幽霊として姿を現すという物語を、文学的に、精神学的に、民俗学的にそれぞれの視点から考察。中でも震災の記憶を持続させることの意義を説く三浦祐之氏の論考は、現在を考える上で得るものが多かった。東日本大震災で家族を失った人々の「幽霊だったとしても会いたかった」という感情と99話を結びつけ、死者に対する願望や、罪悪感が物語を生み出すと論じている。幽霊譚は死者と共に生きるための物語なのだ。
2014/07/05
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数週間かかけてじっくり読みました。『遠野物語』は民俗学の中でも文学らしさがあると感じていましたが、本書では思っていたより心理学的アプローチが多め。カウンセラーの方が思春期の子とのエピソードを用いて読み解いているのが興味深かったです。心理学の知識がほぼないので、これから参考文献など辿って深めていきたいです。 後半で論じられる九九話について、十ニ年位前に初めて読んだときはあの世で夫婦になることがあるのかと意外に思った記憶だけありましたが、今回本書を通して読むと、東日本大震災も重なって胸に迫るものがありました。
2022/02/19
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