ことばのたくらみ―実作集 (21世紀文学の創造 9)
ことばのたくらみ―実作集 (21世紀文学の創造 9) / 感想・レビュー
渡邊利道
池澤夏樹編集の文学の現在みたいな評論叢書の創作による応答編。向井豊昭が読みたくて読んだ。コンセプトのためだろうか、実験的というか自作の出来上がりについての作品が多い。集中一番面白かったのは山本昌代「夜」。向井「ゴドーを尋ねながら」は複雑な構成の短編で、一度読んだだけではよくわからないモヤモヤ感が残る。他はやはり多和田葉子、金井美恵子が良い。
2019/07/11
しゃんぷーしょく
それぞれの作品がすごく面白かったのだけれど、気になったところが2点。行間を不用意にあけたりフォントを変えたりと言った工夫は、私は姑息な小細工のように思えてしまってあまり好きではない。この本にはそんな文章が複数収録されているが、工夫がなされていて日本語・活字の可能性を感じさせると思う一方で、他に表現手法がなかったのかとも思う。もう一点は、東北と沖縄を舞台にした話が多いこと。東京弁が日本語の標準となったからこういう構成になったと思うし方言の継承のためには文学が友好だと思うが、普段使う言葉の可能性も感じたかった
2018/10/02
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