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レイシズム (思考のフロンティア)

レイシズム (思考のフロンティア)

レイシズム (思考のフロンティア)

作家
小森陽一
出版社
岩波書店
発売日
2006-09-28
ISBN
9784000270137
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レイシズム (思考のフロンティア) / 感想・レビュー

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ズマ

レイシズムというと肌の色による差別を連想しがちであるが、著者に言わせれば「ヒルズ族」「フリーター」といったカテゴリーもまた人種であるという。差別者ー被差別者という二分法ではなく、差別者ー共犯者ー被差別者という構図を適用する。差別に対して沈黙を続けるものもまた差別に手を貸すものである。『悪寒』の考察が面白い。我々は西洋の一員になったつもりで東洋を見下すが、実は西洋から見れば日本も同じ「東洋」である。西洋に植民地化されないために文明開化をし、自ら西洋に追従する自己植民地化をはかったのが日本なのである。

2012/02/11

Mealla0v0

本書で検討されるレイシズム(人種差別主義とここでは訳されている)は、単なる生物学的レイシズムを指すものではない。いまやレイシズムは生物学的な差異ではなく文化的差異を根城にしているからだ(新人種主義@バリバール)。問題は、何に基づくにせよ、差異が直ちに価値(優劣)に結びつくことだ。筆者はそのメカニズムを言語的なものの中に探求し、精神分析からオリエンタリズムまで含めた幅広い視野で検討。差別者/被差別者を表象するもの/されるものとみる。最後に、永井荷風『悪感』の分析では、そうした二元論が転倒されることを示す。

2020/08/26

nranjen

論文を書き進めていてどうも腑に落ちず前に進めない時に出会った本。いやー。そうだったか(独り言)。永井荷風の分析はおそらく著者の専門?非常に面白い。こんな本があったなんて。

2018/10/25

awe

「差別による「他者化」は、「他者」という記号を共有する「われわれ」のカテゴリー化に過ぎない」ジラールや佐藤裕の差別論を土台に、言語システムに内在するカテゴリー化の作用を人種差別の議論に敷衍する。言語システムにおいて、否定項を有徴化することによって「われわれ」を創出し、肯定的なイメージを作り出すことは避けられない。そうして差別される個人や集団が見出されるのだ。こうした状況に対抗するには、二項対立を前提とする思考から脱し、あらゆる前提、自明性を疑いつづけることが必要になる。

2018/07/27

つなまよ

言語システムと差別の関係の話が面白い。表現は常に価値判断を内包するみたいは話ですよねたぶん。

2018/02/28

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