戦後歴史学と社会史 (二宮宏之著作集 第4巻)
戦後歴史学と社会史 (二宮宏之著作集 第4巻) / 感想・レビュー
cocoro vagabonda
二宮宏之氏の初期の論考を集めた論集。社会史の旗手として著者を知った私には意外なくらい(しかし、時代背景を考えれば当然のこととして)二宮氏が戦後史学に首根っこまで浸かり、けれども戦後史学的な思考様式では何も解明しないともがき、留学先のフランスで社会史と出会う時期までを扱っている。後年に書かれた「戦後歴史学と社会史」の明晰な見取り図は、氏の戦後史学との深い関わりなしには書けないのだと思い知らされる。戦後史学の軛を負って書かれた諸論考にも、近世の権力構造について示唆に富む記述があり、学ぶところが多い。
2012/06/27
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